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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第87回
87
「あ、ここで下りるの?」
「あぁ、そうだ。でもまだまだ走るけどな。」
黒の軽自動車は料金所を抜け、暗闇に向かって進んでゆく。
アキは、胸ポケットからタバコの箱を取り出し、その中の1本にライターで火をつけた。
「ねぇ、タバコ…、吸いすぎだと思うよ。」
「そうかな…。」
「体に悪いよ。」
「なぁ、ユウ。以前なぜ私が風俗嬢をしているのか聞いて来た事があったよな。」
「うん。」
「今からもう6年もなるのか…。」
「何が?」
「ユウ、私な、実は子供がいるんだ。」
「そうなんだ。」
不思議と驚かなかった。
アキには何か秘密があると思っていたので子供がいる事に対しては特別なんとも思わなかった。
「あの人と出会ったのは、17の時だった。」
「あの人って?」
「高校の同級生なんだ。彼の祖父は地元では有志らしく、それなりに伝統ある家柄だった。私って、生まれは今の街なんだけど、すぐに離れたから田舎育ちなんだ。田舎って有志ってだけで結構地元で尊敬されたりするんだ。」
「ふーん。」
アキは淡々と話し出す。
「背が高く、頭も良くて、スポーツ万能…。到底私には不釣合いだと思って始めはなんとも思ってなかった。」
「…。」
「そんな彼から、ある日、交際を申し込まれた。本当に驚いた。私自身、当時はつまらない女だったと思う。今もつまらない女かもしれないけどな。結構地味だったと思うし…。そんな私に告白なんて…。騙されてると思ったくらいだった。」
なぜいきなり自分の過去を話し出したのかアタシには分からなかったが、黙ってアキの話を聞く事にした。
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