(もうみんな寝てるかな。)
ふとそんな事を思いついたアタシの耳に、ものすごい勢いで階段を駆け上がる音が聞こえてくる。
バタンと扉が開く。
泊まっているクラスメートの母親が青ざめた顔で、息を切らしながら飛び込んできた。
「ユウちゃん!ユウちゃんの家が…、ユウちゃんの家が…。」
「えっ!?」
アタシは何の事かとっさに理解できなかった。
さっき聞こえた消防車のサイレンの音…。
(まさか…。うそ…。うそでしょ…。)
我に返った時には、家に向かって必死に走っていた。
けたたましいサイレンの音。
真っ黒な夜空には灰色の煙が広がっている。
そして、遠くの方に少しだけ点々とした赤い色が見える。
アタシの家の方角から…。
(お父さん…。お母さん…。ミキ…。)
家に近づくに連れて、消防車のサイレンの音と、真っ赤な炎に気付いた人達が道端に出てきている。
ざわめきが辺りを呼び起こす。
家までの道のりは果てしなく遠く感じた。
どれだけ走っても届かない気がした。
アタシの脳裏に父親・母親・ミキの姿が映し出されるが、どれだけ手を伸ばしても3人に届かない。
(お願い、みんな無事でいて…。)
やっと、やっと、やっと……、家にたどり着いた。
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