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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第8回
8
アタシはその日、学校の授業を最後まで出席した。
別に、授業を受けたくて出席していた訳ではない。
あの、アキという女が公園で待っていると言っていたので、それまでの時間稼ぎで残っていただけだ。
「ユウ、新しい友達が出来て良かったね。」
サユリはアタシにそう言い残して、部活へと向かった。
部活をしないアタシにとって、街を徘徊する事が部活か。
サユリは言っていたが、決して新しい友達が出来た訳ではない。
友達どころか、どこの誰かも知らない。
ただ、アキという名前の女が公園に来いと言っただけだ。
アタシは1人、学校の門を抜け、そしていつもの街へと向かう。
生まれた時から知っている、いつもの街へ…。
寒さに震えながら歩いていると、やがて静けさが漂い、暗闇がまるでアタシを待ち構えるかのように辺りを覆っていく。
(冬場は夜になるのは早いわ)
特に時間指定をした訳ではないので、いつアキが現れるかは不明だが、とりあえず公園に行ってみる。
昨日、ドラッグストアから肩を引っ張られて連れてこられた公園。
明日、来いと言われた公園。
アタシは昨日座ったベンチまでやって来たが、アキの姿は見当たらない。
(まだ時間が早すぎるのか…。)
今日の朝まで行く気がなかったのに、結局公園に来てしまっている。
どうやらアタシの心の片隅のどこかが、“楽しみ”を感じているようだ。
(アキが来るまで、しばらく暇つぶしでもするか…。)
アタシはいつものように、夜の街を徘徊する。
特にする事もなさそうな男達が、遊ぼうなんて声を掛けてくる。
残念だけど、今日は遊ばない。
遊べない。
アタシにとって、アキという女が、アタシに“楽しみ”を与えてくれるかどうかをはっきり知りたいから。
(そろそろ公園に戻ってみるか。)
アタシは1人、特に急ぐ訳でもなく、また公園に舞い戻ってきた。
公園のベンチには、誰かが1人で座っている。
タバコを吸っているのだろうか。
煙がぼんやりと頭上に流れている。
あの女だ。
昨日、アタシを引っ張ってきたアキと言う女…。
アタシは、ためらわずにアキに近づいた。
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