角を曲がりしばらく進むと、あの看板が見えてくる。
(もうすぐだ。)
そう、『高橋印刷』の看板…。
白い、大きな看板。
まもなく、『高橋印刷』の看板が見えて…
……こない!
『高橋印刷』の看板が見当たらない。
(何で、何で…。)
アタシは、ある建物の前で立ち止まった。
高橋印刷の工場。
工場はあるが…、シャッターは閉められ、車は一台も止まってない。
中に人がいる気配が無い。
(もしかして…。)
アタシは工場の隣の建物に目をやる。
(マリの自宅…。)
ミキの話からすると、家の中では、倒れた父親と、それを看病しているマリがいるはず。
アタシは迷った。
(アタシが来た所で何が出来るって訳じゃないけど…。)
「…何しに来たの。」
突然、アタシは背後から声を掛けられた。
あまりに突然だったので、一瞬息を飲んだが、ゆっくり振り返ると、そこには、顔は青白く、やせ細ったマリが買い物袋を持って立っていた。
もう、明るくて、スポーツ大好きだった頃のマリの面影はない。
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