Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0 Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/12272/12099/76.htm on line 4 500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

第76回   76
平和な日々が続いた。


アタシは大好きなバレーボールに熱中し、ミキは水泳部で頑張っている。


もう、あれから、1年が過ぎようとしている。


「何か、あっという間の3年間だったような気がする。」


「ねぇ、ユウ。今度家に遊びに来ない?卒業記念ということで…、泊まりにおいでよ。」


「それいいね。行く行く!」


「ユウ、ちょっといい?」


クラスメートと話していたアタシに、ミキが複雑な表情を浮かべながら近づいてきた。


「怪しい表情ね。他の人に聞かれたくない話なら家で喋ればいいのに。」


「そうだけど…。」


「まぁ、いいや。どうしたのミキ?」


「実はね…、マリが1ヶ月前から登校してないらしいの。」


「マリが?どうでもいいじゃん。」


1年前、父親がお金を貸さなかったばかりに逆恨みし、距離を置いたマリ。


アタシにとって、マリなどどうでもいい事だった。


「それがね、マリが登校していない理由が…、いよいよマリのお父さんの工場が危ないらしく、それでマリのお父さん、無理をして倒れたらしいの。マリのところって、お母さんいないでしょ。マリはお父さんの看病で学校休んでいるらしいんだ。」


「危ない…。」


アタシは、1年前を思い出した。


マリの家で見た光景…。


高橋が父親に必死で何度も何度も頭を下げている姿。


マリから聞いた言葉…。


『その大きな仕事っていうのが、もう近いうちに決まる予定だったの。順調そうだったの。それがね…、突然、その契約が……、その契約が……、無くなってしまったの…。』


(無くなった…。無くなった…。)


『それまで一生懸命頑張っていたお父さんがすごく可哀想で…、見ていて私も辛くて…。あまりにも酷い…。』


(可哀想で…、辛くて…、酷い…。)


放課後、アタシは部活を風邪をひいたと“仮病”を使い、早々に学校を出た。


何も考えられなかった。


頭の中が真っ白だった。


ただ、ひたすらに目的地まで走るように足を進めた。


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