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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第72回
72
「その大きな仕事っていうのが、もう近いうちに決まる予定だったの。それまでに何度も話し合いをして、工場の新しい機械を見に、何だかお偉い人が訪れてきたり…。順調そうだったの。それがね……、突然、その契約が……、その契約が……。」
マリの手が小刻みに震える。
「無くなってしまったの……。」
「…無くなった?!」
アタシとミキは思わず声を揃えた。
「本当に突然だった。詳しい事は分からないけど、この前お父さん、従業員のみんなの前で泣きながら土下座して謝ってた。『苦労ばかりかけてすまない…。』と……。結局、新しい機械を買った借金だけ残ったの…。それまで一生懸命頑張っていたお父さんがすごく可哀想で……、見ていてマリも辛くて……。あまりにも酷い……。」
マリの頬に涙が流れる。
「それでね…、お父さん、またユウとミキの家に行ったみたいだけど、ユウとミキのお父さんがいなくて……。昨日、ユウとミキのお父さんが来て…、どうやらまたお金を貸して欲しいと言ったらしいの…。ずっと、お父さん頭下げてた。ずっと、ずっと……。『私はどうでもいいんです。ただ…、従業員達まで路頭に迷わす訳には行かないんです。』と言いながら……。最近お父さん…、誰と会っても謝っていて……、土下座して、必死に謝って……、また謝って……。また…謝って……。ユウ、昨日家に来たのは…、マリのお父さんがユウのお父さんに何を話しているのか知りたかったからでしょ。」
核心を突かれたアタシは一瞬息が止まった。
マリは話しながらも涙は止まらない。
「…実はそうなの。ごめんなさい。ユウも詳しい事分からなくて…。ミキからお金を借りに来た事を聞いてたもんだから…。」
「いいのよ…。ユウだってお父さんの事心配だもんね…。」
「お父さん、またお金、貸すのかなぁ。」
ミキが独り言のように呟く。
「ユウとミキには迷惑かけてるのは分かってる…。分かってる、分かってるけど……、何とかお父さんを助けたいの。マリには大切なお父さんだから…。もう、お父さんが謝る姿を見たくないの……。勝手だけど…。」
「もういい、マリ。分かった。だからもう泣かないで。ユウはずっとマリと友達だから。」
「ミキだってマリと友達だからね。」
「…ありがとう。本当に…、ごめんね……。」
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