「マリ、昨日はごめんね。突然訪れたものだから…。」
「ううん、いいよ。それよりね…、昨日マリね、はじめて知った事があるんだ…。」
マリは、ちょっと寂しい顔をしながら話し出した。
「マリのお父さん、ユウとミキのお父さんからお金借りてたんだってね。全然知らなかった。そのお金で…、新しい機械買って…、お父さん、機械が工場に来た日、とっても喜んでた。『これで、仕事が増える！』って…。マリ、とっても嬉しかった。お父さん、元気になってくれて…。実を言うとね、新しい機械が入る前、お父さんしばらく寝込んでいたんだ。会社の成績が上がらなくて、ストレスが溜まって…。精神的に不安定になって……。そんなお父さんがとても喜んでた。これも、ユウとミキのお父さんのおかげ。本当にありがとう。」
「そうだったんだ…。」
（マリのお父さん、寝込んでしまうほど困っていたんだ…。）
この時、アタシとミキは、500万を貸した父親に対してとても誇りに思った。
「でもね…。」
マリの様子が少しおかしい。
「確か、新しい機械が入ったら大きな仕事が入ってくるんだったよね。」
ミキが口を挟む。
元々、最初に高橋がお金を借りに来た事を知ったのはミキである。
その時の父親と高橋の会話は、ミキは今でもはっきり覚えている。
「そうなの、それでお父さんは喜んでいたんだけどね…。」
相変わらずマリの表情は暗い。
「何か…、あったの？」
アタシは戸惑いながらもマリに尋ねた。
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