はっきり聞こえなかったがだいたい分かった。
昼間、マリの家の玄関から見えた高橋の必死に頭を下げている姿…。
（マリのお父さんがこの前来たのは、お金を返しに来たのではなくて、また、お金を借りに来たんだ…。)
以前、マリに聞いた時には『機械を買って仕事が増えると喜んでいた。』と言っていた。
あれから、また何かあったのだろうか…。
そして、読み取る限り、父親はまたお金を貸そうとしている。
母親は、ためらっているようだ。
（そうだよね。また大金を貸したら…、お父さん、お母さんに迷惑かけている事分かっているのかなぁ…。）
どうしても頼まれると断れないタイプ。
（お父さんとトオルってよく似ているわ…。）
明日マリにいろいろ聞いてみよう。
突然行ってびっくりさせちゃったしね…。
翌日、アタシとミキは一緒に学校へ登校し教室に向かうと、マリが入り口で待っていた。
その表情は少し暗い。
「ユウ、ミキ。ちょっと話があるんだ。」
「そう。実は…、ユウも話があるんだ。」
「お昼休みにまた来るから時間空けてくれる？」
「うん、分かった。」
そして…昼休み。
3人で歩いていく様子を遠くから見つめるトオル。
外に出て、校庭の脇にあるベンチに座る。
アタシがまず始めに話し出す。
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