トオルからもアタシはかなり慌てている様子に見えるらしい。
「ど、どうしたの？ユウちゃん、大丈夫？なんか慌ててたみたいだけど…。」
「あんたには関係ないよ。」
でも、助かった。トオルと出会ったおかげで、少し落ち着けた。
「そうだ、トオル。ちょっと、散歩しない？」
「え？散歩？いいけど…。」
考えてみると、こんな些細な事でもトオルには助けられてるな…。
トオルと別れてから、アタシは1人あることを考えながら自転車を押しながら歩いていた。
（マリのお父さん、ずっと頭下げてたな。何だか必死だった。どうしたんだろ？もしかして…。でもね…。）
その後、アタシが予期した事は正しかった事が証明される。
アタシが家に帰ると、すでに父親は帰宅していた。
ミキはまだ戻っていない。
玄関に立っていると、かすかに声が聞こえてくる。
奥の部屋で両親が話をしているようだ。
『…そう。で、どうするの…。』
『…うーん、助けて…あげ…。』
『そうは言って…500万…。』
『姉さん…ようかな。』
『ダメよ。お姉さんに…わよ。』
廊下で聞いているアタシには途切れ途切れにしか聞こえてこない。
アタシは静かに階段を上り、自室に入った。
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