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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第66回
66
アタシは、急いで朝食を終わらせ、自室に戻り私服に着替えた。
走って階段を下りるアタシに母親が思わず声を掛ける。
「あら、ユウ。今日は家にいるんじゃなかったの?」
「え…、そ、そう…だったんだけど…。と、友達との約束を、わ、忘れてた…。」
アタシは、明らかな嘘を慌てながら母親に伝えた。
「もう、約束はちゃんと守りなさいよ。」
「はーい、行ってきまーす。」
アタシが外へ出るとすでに父親の姿はない。
(まぁ、行き先は分かっているからね。)
自転車に乗り、車が行き違えない程の細い道を少し速度を速めながら走る。
(確か…、マリは2年になったばかりの時、『お父さんは、この機械で仕事が増えるって喜んでた。』って言ってたっけ。きっと、仕事が増えて、お金を返しに来てくれたのかもしれない。)
そう思いながらも、何か気になる。
角を3つ曲がり、10分ほど自転車で走ると、やがて白い看板が見えてくる。
『高橋印刷』
高橋の工場だ。
それほど工場自体は大きくないが、小さな搬入口があり、その隣りには2階建ての建物が並んで建っている。
2階建ての建物がマリの自宅だ。
日曜日という事もあり、工場はシャッターが閉まっている。
マリの家に来るのは久しぶりだ。
ふと玄関の脇を見ると、水色の自転車が置いてある。
(お母さんの自転車だ。お父さん、やっぱり来てる…。)
アタシは、玄関の前に立ち、どうしようかと迷いながらもインターホンを押した。
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