「その時、お前の親父、よく500万もの大金を用意できたな。」
アキは右手に持っているジントニックをテーブルに置いて尋ねてきた。
「ユウも、その時はどうやったのか分からなかったんだけど、後から聞いたら、叔母さんから借りたらしいんだ。」
「叔母さんって、お前の親父の会社の社長か。」
「そう。お父さん、何度も頭を下げて『どうしても助けてあげたいんです!ユウとミキの友達を助けたいんです!』って言ったらしいんだ。」
「お前の親父、いい親父だな。」
「人が良すぎるけどね。」
そう言いながらも、アタシはアキの言葉が少し照れくさかった。
真梨子もカウンターの奥からアタシの話を聞いている。
「その友達の親父も、金借りて新しい機械買えてよかったじゃねーか。」
「良かったんだけどね…。でもね…、中学2年の秋になって、またマリのお父さんがユウのお父さんを尋ねてきたんだ…。」
中学2年の秋。
マリから高橋が新しい機械を購入したと聞いてから半年後…。
アタシはいつものようにバレーボールの練習を終え、すでにあたりが暗くなっている街並みを眺めながら家に向かって歩いていた。
マリとはクラスが別なのですっかり遊ぶ機会が減ってしまったが、会うたびに声を掛け合う仲は継続している。
アタシの中では、高橋にお金を貸した事など、この頃すっかり忘れていた。
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