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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第50回
50
何か言葉で表現できない孤独感がアタシの心を奪ってゆく…。
何だか、とっても寂しい。
ただ、ひたすらに寂しい…。
ふと、気が付くと公園の入り口に立っていた。
いつもの…、あの公園…。
アタシはゆっくりと公園の中に入る。
まだ、子供達が遊具を使って遊んでいる。
男の子も女の子も一緒になって走り回っている。
(アタシにもこんな時代があったよね…。トオルと、そして…。)
いつものベンチを見ると、誰も座っていない。
まだ、アキは来ていないようだ。
(そうだよね。いきなり呼び出したからね…。)
アタシは静かにベンチに座ると、そのまま下を向いた。
上を向いていると、泣いていたのがばれるから…。
(寒い…。)
(気付いたら、もう年末だよね。
世の中は、せわしなく動いているけど、アタシにはただ寒さだけが感じる。
とても、寒い…。
来年はいい年になるかな…。
いい年って何だろう…。
サユリを傷つけ、トオルがいないアタシにいい年って来るのだろうか…。
そんな事を考えていたら、また涙が出てきたよ。
涙でにじんで何も見えないよ。
アタシが何をしたっていうのよ…。)
ただただ、寒さと寂しさだけを感じていたアタシは、ふと自分の右側に何か気配を感じた。
「今日は一段と寒いな。」
アタシは溢れる涙を拭うと、声に向かって顔を見上げた。
「電話くれてありがとな。」
アキが声を掛けてくる。
「…アキ。ユウには…、幸せって来るのかな…。」
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「実はね…、ユウには、トオルって彼氏がいたんだ。幼なじみなんだけど…、とっても弱虫で、ユウがいないと何も出来なくて…。とっても頼りないんだ…。」
「…。」
「でも…、頼りないって思っていたのは、ユウだけだったんだ…。ほんとはすごくユウの事大切にしてくれていて、すごく考えてくれていて、悩んでくれていて……。ずっと支えていたのは、ユウではなくて、トオルだったんだ……。ユウはその事に気付いたんだ。ついさっき…。ユウは大切な人をまた1人失ってしまったんだ…。」
アキは黙って聞いている。
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