夜の高速道路を、一台の黒の軽自動車が西へ西へとひたすら走り続けている。
車内に立ち込めるメンソールタバコの煙…。
「ねぇ、アキ。まだ走り続けるの?」
アキと待ち合わせて車に乗ってから約1時間。
アタシはアキがどこへ向かおうとしているのか分からなかった。
車内の時計を見ると午後8時20分。
「おう、もう少し走るから大人しく待っておけ。」
「どうせ、ユウは暇だから別にいいけど…。」
「なあ、ユウは今彼氏いるのか?」
アキがおもむろに尋ねてきた。
「ううん、いないよ。」
「トオルって子と別れてからまだ1人か。そういえばあの時、泣きながら私に電話してきたっけ。」
「もう、そんな話しないでよ。恥ずかしいじゃない。」
『プ、プ、プ、プ…。』
電波の悪い場所にいるのか、なかなか繋がらない。
アタシは、トオルと別れると、止まらない涙を必死に抑えながら、アキに電話をかけていた。
(今日も風俗の仕事をしているのだろうか…。)
トオルと別れた悲しみの中で、ふと、アキが風俗嬢として働いている事を思い出した。
5秒、6秒、7秒…。
「久しぶりだな。」
アタシの耳元に相変わらずのぶっきらぼうな声が飛び込んでくる。
「…。」
アタシはアキに頼りたい気持ちがあるのだが、悲しみと止まらない涙でなかなか言葉が出てこない。
「おい、ユウだろ?何か喋ったらどうだ?」
「…、アキ…。」
「どうした?泣いているのか?」
アキも電話の声で、普通ではない事を察したらしい。
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