（トオル、こんな別れ方、イヤだよ。悲しすぎるよ…。）
トオルの背中が小さくなっていく。
トオルの姿が見えにくくなる。
涙で何も見えない。
何も考えられない。
トオルがいなくなるなんて、考えられない…。
トオル、ずっと、愛してたのに…。
アタシはその場に崩れ落ち、人の目も気にせずただひたすらに泣き続けた。
（ずっとアタシは1人だと思っていた。けれど…、本当は1人じゃなかったんだよね。
ずっとずっと、傍にいてくれていたんだよね。会えなくても、アタシを気にしていてくれていたんだよね。気付かないアタシはホントにバカだ…。）
泣きながら自分を責めたアタシはふと、制服のポケットに手を入れた。携帯電話が入っている。
おもむろに取り出し、アドレス検索。
『サユリ』
（サユリ…。いつでも話を聞くよ、って言ってくれたサユリ…。でも…、サユリはダメだ…。サユリに頼っちゃダメだ。サユリは強く頑張っている。サユリに迷惑かけちゃダメだ…。）
アタシはそう思うと、さらに検索を始めた。
『アキ』
（アキ…、最近会ってないな…。今、何しているだろう…。アタシの事、覚えてくれているかな…。）
アタシは、そう思った時にはすでにアキの携帯に電話をかけていた。
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