アタシとトオルは喫茶店を出ると、『じゃあ。』と言ってお互い違う方向に歩き出した。
アタシはしばらく歩くと立ち止まり、静かに、ゆっくりと振り返った。
トオルは、振り向く事もなく、真っ直ぐに歩いていく。
その後姿は、今までの泣き虫のトオルではなく、1人のしっかりとした男性としてアタシの目に映っていた。
徐々にトオルの後姿が見えなくなる。
(振り返って…。振り返ってよ…。アタシを見てよ…。アタシを守ってよ…。もっともっとアタシのそばにいてよ、トオル…。)
無意識にアタシの頬に涙が流れる。
1本、また1本、そしてまた1本……。
もう、トオルと会う事はない。
(そんな…、突然すぎだよ…。アタシだって、トオルの事がずっとずっと好きだった。子供の頃からずっと好きだった。本当に、アタシにはトオルしかいないのに…。)
最後まで素直になれなかった。
どこまでも素直になれなかった。
アタシの本当の心を見せる事が出来なかった。
アタシはどこまでもバカだ。
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