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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第40回
40
アタシは最近毎日のように学校へ行っている。
以前なら、月に1・2回程度しか行かなかった学校に行っている。
学校に行くなんて、特別な事ではない。
むしろ当たり前の事だ。
でも、アタシが、急に“まとも”になった訳ではない。
学校が好きでも、勉強が好きになった訳でもない。
学校に行くようになったのは、サユリの事が心配だからだ。
サユリはアキに嫉妬して、アタシを探しに夜の街へ出て、アタシと一緒に男達に襲われた。
サユリが襲われたのは全てアタシが悪いと思っている。
でも、襲われた日からしばらくは、また学校には行かなかった。
それは、今までの学校がつまらない理由からではなく、サユリに会うのが怖かったからだ。
サユリはきっとアタシを恨んでいるに違いない。
ずっと、その想いがアタシを締め付けた。
けれど、今のままでは逃げているだけだと思った。
サユリと一緒に襲われて、公園で2人で捨てられた時…。
サユリは、『学校に来なくても、私の…携帯鳴らしてね。私、いつでも、ユウの話を聞きに行くから…。』と言ってくれた。
サユリはアタシに対してどこまでも優しかった。
そんなサユリに対して、学校に行かず、ただ逃げているアタシはとてもかっこ悪いし、 サユリの気持ちを踏みにじっているように段々感じてきた。
だから、ある日、アタシは勇気を持って学校に向かった。
サユリに会うのが怖かった。
本当に怖かった。
しかし、アタシの心配をよそに、サユリは何事もなかったかのようにアタシに近づいてくる。
「ユウ、おはよう。最近よく登校してるね。珍しい。」
そして、今までと変わりなく話しかけてくる。
真面目に授業を受け、アタシと一緒に昼食をとり、部活に励んでいる。
あまりにも変わらないサユリに、アタシは余計に責任を感じる。
どうしても、“あの事”を思い出さないように無理をして普通を振舞っているようにしか思えない。
それが、アタシにはとても辛かった。
けれど、どれだけサユリが変わっていなくても、アタシは学校に行くようになった。
サユリの笑顔を見ないと、アタシの心が許さない。
サユリとしっかり向き合わないと、サユリに申し訳ない。
そんな気持ちで一杯だった。
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