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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第4回
4
アタシは軽く呟くと、先ほどのリップクリームの時と同じように、右手で洗顔クリームをそっと握り締める。
これって、最近CMでよくやっている商品…。
とってもかわいい…。
アタシはまた右、左にゆっくりと首を振り何事もない事を確認すると、洗顔クリームをカバンの中に自然な流れで入れる。
誰もいない、死角になる場所で、アタシは楽しみを見つける。
もう、アタシを追いかけていた警察官もどこかに行っただろう。
もう少しブラブラしたいからもういいか。
アタシは、カバンの中にリップクリームと洗顔クリームを入れたまま、レジを通らずに、ゆっくり、自然な流れに沿って店を出ようとした。
誰にも気付かれず、そして、何事もなかったかのように、店を出ようとした。
しかし、店を出た瞬間、アタシはいきなり左肩を掴まれた。
けれど特に驚かなかった。
こうなる事も無意識の中で自分でうすうす感じていたのかもしれない。
アタシは、特に抵抗する事もなく、掴まれた左肩から後ろを振りかえる。
ゆっくり振り返ると、目の前には髪が肩下まで伸び、精悍な顔立ちをしているが、どこが影を感じさせるような女がアタシを見つめている。
「いいよ。連れてってくれて。」
その時アタシはてっきり、店の従業員に万引きの現行犯で引き渡されると思った。
しかし、その女が取った行動は違った。
「来な。」
その女は、右手でアタシの左肩を掴みながら、そのまま連れ出そうとする。
「イタイ、イタイ。何なんだよ!どこへ連れて行くんだよ!」
その女に左肩を掴まれながら、アタシは近くの公園まで連れて来られた。
ベンチに座るように言われ、仕方なく座ると、その女もアタシの隣に腰掛ける。
そのまま女は左ポケットからタバコを取り出し、その中の1本にシュッとライターで火をつけるとゆっくり、そして味わうようにタバコの煙を漂わせる。
パッケージに書いてあるメンソールの文字。
「お前、何なんだよ!ユウが万引きしたの見てたんだろ!早く警察に連れ出せよ!」
「…ユウって言うのか。」
その女はポツリと呟く。
「ユウ、お前、歳いくつだ?」
「17だよ。」
「来年18か?」
「あと、3ヶ月ほどで18になるよ。って何なんだよ!」
アタシはイライラしてきた。
「お前、誕生日はいつだ?」
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