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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第39回
39
しばらく、沈黙が続く。
でも、トオルといればいつもの事だ。
アタシは特に気にせず、ミックスジュースを飲んでいた。
トオルはじっと下を向いたまま、やがて再び話し出した。
「僕は…、ユウちゃんに迷惑かけているかな…。」
「かけっぱなしよ!」
「え!?」
トオルはアタシの即答にやや驚きを隠せなかった。
「あんた、分かってないの?子供の頃からいつも泣き虫で、そのたびにユウが…。」
「いや、ユウちゃん、あのね…、子供の頃の話でなくて、付き合ってからの事なんだけど…。」
「付き合ってから?そうねぇ。まずは全然連絡してこない。で、たまにデートしても何も決めてくれないし、何かユウが喜びそうな事言ってくれる訳でもない。キスもした事なければ、セックスだってもちろんしたことない。あんた、ホントにユウに興味あるの?って感じ。そこがまたウザいんだよね…。」
アタシだって本心でそこまで思っている訳ではない。
その、トオルの“何もしない”所が、逆にアタシに安心感を与えてくれる。
しかし、その頼りない態度と向き合うと、どうしてもストレスが溜まってつい言い過ぎてしまう。
「僕は…、ユウちゃんを大切にしたいと思っているだけなんだけど…。ユウちゃんがそこまで迷惑しているのなら…。」
トオルはずっと下を向いたままだ。
「ほんと、迷惑よ。あんた、もっとしっかりしなさいよ。」
アタシはいつもの調子でトオルに話した。
「…、分かった。ユウちゃん、ごめんね…。」
そう言うと、トオルは席を立った。
「あら、もう帰るの?レモンティー飲まないの?」
「うん、今日はユウちゃんが思っている事聞きたかっただけだから…。」
「そう。ちなみに今度いつ会うの?」
「…近いうちに会うと思う…。」
「ふーん、期待しないで待ってるわ。」
特別、いつもと違うようには思わなかった。
そして、トオルから再び連絡が来るのはこの日から3日後の事だった。
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