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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第36回
36
本当にどうしていいか分からなくなって…。
思わず走り去ってしまった。
トオルから好きなんて言われるとは思わなかった。
考えた事もなかった。
だから思わず逃げ出してしまった。
(でも多分…、トオルはずっとずっと言いたかったのだろうね。トオルの中ではすごく考えて悩んで、勇気を出して言ってくれたんだよね。ありがとう…。ありがとう、なんだけど…。)
それからしばらく、トオルに対しての答えは“保留”にしていた。
トオルの気持ちを考えると早く答えを伝えた方がいいのは分かっている。
でも、正直答えはYESでもNOでもなかった。
トオルは頼りないけど、とても優しい。
確かにストレスは溜まるけど、どこか安心できるところもある。
しかし、その気持ちと、トオルを恋愛感情で“好き”と思う気持ちがどうしても結びつかない。
アタシ自身に他に彼氏がいる訳でもないし、特別好きな人もいない。
今は、友達と騒いでいる方が楽しい…そんな気持ちもあって、どうしようかと悩んでいた。
トオルの方も、告白はしたが答えが“保留”になっているし、思い切ってアタシに聞きづらい気持ちもあってか、アタシと学校で会ってもちょっと伏し目がちで、もっと言えばアタシを避けるようにもなっていた。
段々とトオルが小さく見えるのが本当に申し訳ないと思うのだが、アタシ自身も踏ん切りがつかない状態がしばらく続いた。
そんなアタシにいよいよ“事件”が起こる。
そう、アタシの人生を変える事件…。
アタシの周りには何もなくなった。
どこを見渡しても誰もいない。アタシ1人…。
呆然とする頭の中で、アタシは隣に誰かがいるのに気が付いた。
「…トオル。」
「ユウちゃん、誰もいない事はないよ。僕がずっと隣にいるよ…。」
トオルは私に優しく微笑みかけた。
「トオル、ありがとう…。」
その時のトオルはとっても頼もしく見えて、輝いて見えた。
「トオル、あのね…、ユウの…、いつまでもそばにいてね…。」
こうして、幼なじみのトオルとアタシは彼氏彼女の関係になった。
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