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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第35回
35
それから小学校、中学校と同じ学校に進み、トオルはいじめられる事はなくなったが、どこか頼りなくて、弱々しくて、アタシの中ではどうしても無視できない存在になっていた。
そんなトオルとも、遂に高校では別々になる。
トオルは頭が良かったので、県内の公立進学高校。
アタシは、私立の三流女子高…。
アタシはほっとする気持ちと、どこか寂しげな気持ちが交錯していた。
「あのさ…、高校別々になるよね。だからね…、どうしても言いたい事があってさ…。」
トオルはまるで腫れ物に触るかのように、恐る恐る話し始めた。
「そうよね。ユウもやっとあんたのお守をしなくていいからすっきりするわ。」
「…ユウちゃんは本当にそう思っているの?」
「思っているわよ。」
トオルの言いたい事が分からない。
トオルは下を向いたまま思いきり深呼吸をし、そして覚悟を決めたように顔を上げると一気に話し始めた。
「ぼ、僕は…、ずっとずっと…、幼稚園の頃から…、ユ、ユウちゃんが…ユウちゃんの事が…す、好きでした!だ、大好きです!高校が別々になる事で…ユウちゃんと離れたくない!だから…、だから…、ユウちゃんがもしよければ…、ぼ、僕と付き合ってください!」
トオルの必死さはとてつもなく伝わってきた。
しかし、予想だにしない言葉にアタシはただ呆気にとられてしまった。
「トオル…本気で言っているの?」
「…。」
「ちょっと、突然だから…びっくりして…、おい、トオル!泣くなよ!」
トオルの顔を見ると、涙でぐしゃぐしゃになっている。
「分かった、分かった。トオルの気持ちはよく分かった。だから泣くな。」
「…、ぼ、僕と…、一緒にいてくれる?」
「いや、それは…。ごめん。突然の事でユウ自身どう受け止めたらいいか…。ちょっと考えさせてくれ。ほんと、ごめん。」
そういうとアタシは、泣いているトオルをその場に残して逃げだしてしまった。
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