(強い目をしている…アタシには未だに意味は分からないけど、なんだか、アキも同じ人間のような気がする…。詳しい事は分からないけど…、けど…、アキも辛い人生を送ってきた。そして、アタシも…)
「今日はちょっと喋りすぎた。」
「いいじゃない。ユウは嬉しいよ。」
「そうか。」
「ねぇ、アキ。18の時に何があったのか…ユウには教えてくれないの?」
「時期が来たら話すよ。」
「時期?どうゆう意味?」
「そのうち分かるよ。ユウ、お前は昔何があったんだ?」
「…時期が来たら話す。」
「そうか…。」
アキが少し微笑んだ気がした。
「アキ、あのね、実は先日、ユウの友達が見知らぬ男たちに襲われたの。この街で。1人で歩いていて、ナンパされている所を偶然ユウが通りかかって、必死で止めようとしたんだけど、強引に車に乗せられて…」
アタシは少し暗い声でアキに話し始めた。
「どうして友達は1人で歩いていたんだ?」
「…ユウが学校でアキの事話したら、ユウがとっても嬉しそうな顔をするって言うの。そう思ったら段々アキにユウを取られてしまうんじゃないかって思ったらしくて……、不安になって、夜の街に出てきた。アキにも会いたくなったらしいの。普段は真面目で部活に専念してて、夜に出歩くような子じゃないのに…。ユウは、ずっと学校入ってからも1人だと思ってた。けど…、実は、ものすごく近くにユウの事好きだと言ってくれる人がいたんだ。気付くのが遅かった。だからユウは大切な友達を傷つける事をしてしまったんだ…。」
アキは黙ってタバコを吸いながら聞いている。
「ユウね、何だかアキと出会ってから、少しずつだけど…、自分が変わってきている気がするの。でも…。」
「その友達が傷ついたのは、私のせいだと言いたいのか?」
「ううん、そんな事は思ってないの。アキ、あなたは不思議な人だよ。ユウの心が見透かされている気がするの。“楽しさ”を追い求めているユウの事を分かってくれているような気がするの。上手く言えないんだけどね。」
アキはタバコの火を消すと、いきなりベンチから立ち上がった。
「友達は…、大切にしろよ…。」
「どこ行くの?」
「帰るんだよ。ユウ、また電話してこいよ。今度はちゃんと出るからさ。」
そう言い残して、アキはアタシを置いて歩き出した。
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