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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第3回
3
アタシはいつものように、1人で夜の街をぶらぶら制服姿で歩いていた。
ときどき、警察官から声をかけられるが、無視して歩く。
無視して歩くから警察官もしつこくアタシに付きまとう。
そうしたらアタシは、近くの店に入って、他の客にまぎれて警察官を追い払う。
今日もそうだった。
警察官があまりにもしつこいから、目に付いたドラッグストアに入り、警察官の追撃を振り切った。
(仕事とはいえ、あいつら、いつもしつこいよな。でも結構楽しかったりして…。)
アタシは楽しい事しかやらない。
楽しめればアタシの“勝ち”。
ところで、ドラッグストアという店は、日用品から化粧品まで何でも揃っている。
ドラッグストアなのに、薬より、薬以外のアイテムの方が多い。
なんとも不思議だなぁっていつも思う。
警察官を振り切った事に少し安心して何気なく店内の通路を歩いていると、目の前にピンク色のかわいいリップクリームが並んでいる。
(かわいい…。)
そう思うとアタシは、通路を右、左と首を振り、誰もいない事を確認すると、そっと右手でそのピンク色のリップクリームを手に取る。
別にリップクリームなんて必要ない。
いつでも買えるし…。
そう、リップクリームが目的ではなくて、あくまで自分が楽しめる事をするのが目的なのである。
アタシは、右手に取ったリップクリームを軽く握り締めると、そのまま左肘にかけている学校のカバンの中にゆっくりと入れる。
何事もないように、きわめて自然な流れでリップクリームをカバンの中へ入れる。
かすかに、カバンの底にリップクリームが落ちた音が聞こえた。
せっかく入ったのだから、他の商品もいろいろ見ながら歩く。
右奥の、ちょうど死角になっている場所で洗顔クリームのコーナーを見つけた。
(そういえば、洗顔クリームなくなっていたよな…。)
お金もあるし、丁度いい。
買って帰ろうか。
(でもね…。)
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