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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第29回
29
「ねぇ、アキ。」
「ユウ、来ると思ったよ。」
「え?どうしてユウが来る事が分かったの?」
「この前、悪かったな。携帯、電話くれたのに出れなくて。」
「あぁ、そういえばユウ、携帯にかけたね。」
「私が電話に出なかったから、今日くらい、見つけに来るんじゃないかと思ってね。」
「さすがアキだね。何でもお見通しって訳だね。」
「まぁ、座れや。」
アキに促されて、アタシはアキの隣りに座る。
「…実は、この前、アキの携帯が繋がらなかった時、アキがいるかと思って真梨子さんの所へ1人で行ったんだ。」
「そうかい。」
「で、真梨子さんからアキの事、ちょっと聞いた。」
「私が風俗嬢だと知って驚いたか。」
「真梨子さんからユウが来た事聞いたの?」
「いや、ママが知っている私の情報と言ったらそんな事だと思ってさ。」
アキが吸っていたメンソールのタバコはすっかり灰となり、そのタバコを吸殻に捨てると、また新しいタバコをポケットから取り出し、ゆっくり火をつける。
「…どうして、風俗嬢なんてしてるの?」
「どうしてだろうな。」
「アキ、アキはユウと同じ匂いがするって言ったよね。ユウは、確かに1人で彷徨っているし、男達から生意気だからって襲われたりすることもよくあるけど……、風俗嬢になって体を売ろうなんて絶対思わない。なぜなら、そこに自分の“楽しみ”を見つけられそうにないから。ただ、お金のために働いている訳じゃないとは思う。アキ、あなたは一体何者なの?」
アタシは風俗店のオーナーの男の言葉を思い出した。
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