「アキって子は風俗嬢なのか。」
「…そう。」
オーナーの男は一息つくと、ゆっくりとアタシに話し始めた。
「風俗って仕事はもちろん立派な仕事の1つなんだけど、ほとんどが何かしらの事情を持っている。みな、その事情も人に言えない事が多い。お金に困っていたり、家庭を支えなければならなかったり、年老いた親を養ったり…。ここにいる従業員達も生きていく為に必死で働いているのだけど、探してもらいたくない者もいる。特に身内には…。お嬢さんが、どうしてアキって人を探しているのかは分からないけれど、あまり、詮索しない方がいい事もある…。」
オーナーの男はまるでアタシの心を見透かしているようだった。
(そんな話を聞くと、余計にアキの事をもっと知りたくなるよ…。)
「それに今は、風俗営業に関する規則や法律も厳しくなっているから、それほど、怪しい所では働いてないと思うよ。」
オーナーの男はアタシを落ち着かせようとしてくれた。
「…ありがとう。お邪魔しました。」
少し落ち着きを取り戻したアタシはオーナーの男に向かってそう言うと、カバンを持ってすこし裾を掃い、ゆっくりその場を立ち去ろうとした。
「お嬢さん、気をつけて帰りな。」
アタシは風俗店を出た。
外はさらに寒さを増して冷え込んでいる。
(制服じゃあ、ちっとも寒さが凌げないよな。)
結局、何も分からなかった。
この夜の街のどこかでアキは何らかの事情を抱え今日も働いている。
でも、なんでだろう。
どうして、探したくなるのだろう…。
アキって女が気になる理由。
それは本当にアタシと同じ匂いがするからなのだろうか…。
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