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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

第23回   23
「風俗嬢よ。」


「風俗嬢!?」


アタシは、予想しなかった答えにただただ驚いた。


「アキはとっても不幸な子でね。幼い頃に両親と別れて、さらに18の時に何かあったみたい。」


「何かって?」


「それが、いつ聞いても教えてくれないのよ。どうやら、その頃に風俗嬢になったみたい。お金が必要だったのかもしれないわね。」


そこまで話すと真梨子はポケットから自分のタバコを手に取り、すっと1本口に咥えると、自分でライターで火をつけた。


「そのタバコ……、アキが吸っているのと同じ…。」


「そうよ、よく気付いたわね。アキの事が気になる?」


真梨子はわざといたずらっぽくアタシに尋ねてくる。


「…、まだ会ってから、日は浅いけど…、何だかアキと話していると、楽しいと言うか…
はじめは何を言っているのか訳分かんねー女ってしか思ってなかったんだけど…。」


「アキは本当は、優しい子だからね。」


「アキと初めて出会ってからの事を、学校のクラスメートの子に話していたの。そうしたら、そのクラスメートの子がユウが楽しそうだって言うの。しかも、嫉妬までして、ユウをとられると思ったらしくて…、ユウ自身も正直よく分からないんだけど、楽しいんだよね。」


さすがに、アキに嫉妬して男に襲われたとまでは言えなかった。


「いいじゃないの。きっと、アキもユウちゃんに出会えて嬉しいと思っているはずよ。」


「そうかなぁ。」



アタシは真梨子のスナックを出た。


アキについて、知らなかった事がいくつか分かった。


どうやら、普段は風俗嬢をしているらしい。


(そんなにお金に困っているのだろうか…。それにしても、この街には何件風俗店があるのだろうか…。アキが18の時、一体何があったのだろうか…。)


アタシはますます、アキという人物に興味を抱いた。


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