「サユリ…ごめんね。」
サユリはまだ涙を流している。
「…違うの。ユウが悪い訳じゃないの。ただ、楽しそうなユウが羨ましかったの。サユリの前でも笑って欲しかっただけだったの。サユリこそ…ごめんね。せっかく出会ったアキさんとは、楽しくしてね…。」
「サユリは、アキに会わないのか。」
「うん、いいの。サユリがアキさんに会うと、今日の事思い出しそうだし、アキさんが悪い訳じゃないけど、アキさんに嫉妬してしまいそうだからサユリは会わない。アキさんの事をサユリに話してくれるって事は…、話したいからだけど、それでもサユリに会いに、学校に来てくれるって事は…、ユウは、サユリの事、友達だと思ってくれているって理解しとく。サユリはそれでいい。それで幸せ…。」
サユリはアタシにそう言って微笑んだ。
今まで見た事もない素敵な笑顔で…。
「サユリ…。ありがとう。」
今まで、1人だと思っていた。
ずっと1人だと思っていた。
あの事があってから…。
けれど、今、アタシの心の中で何かが変わって来ている。
それは……、アキと出会った時から…。
アキはアタシと同じ目線で近づいてくれた。
アタシは、それをサユリにもしなきゃならないって…。
「サユリ…大丈夫か?」
「…大丈夫だよ。」
「立てるか。」
アタシとサユリはお互い肩を組みながら、立ち上がった。
「ユウ…。」
「なんだ?」
「学校に来なくても、サユリの…携帯鳴らしてね。サユリ、いつでもユウの話を聞きに行くから…。」
「ありがとう…。必ず連絡するよ…。」
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