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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

第20回   20
「サユリ…ごめんね。」


サユリはまだ涙を流している。


「…違うの。ユウが悪い訳じゃないの。ただ、楽しそうなユウが羨ましかったの。サユリの前でも笑って欲しかっただけだったの。サユリこそ…ごめんね。せっかく出会ったアキさんとは、楽しくしてね…。」


「サユリは、アキに会わないのか。」


「うん、いいの。サユリがアキさんに会うと、今日の事思い出しそうだし、アキさんが悪い訳じゃないけど、アキさんに嫉妬してしまいそうだからサユリは会わない。アキさんの事をサユリに話してくれるって事は…、話したいからだけど、それでもサユリに会いに、学校に来てくれるって事は…、ユウは、サユリの事、友達だと思ってくれているって理解しとく。サユリはそれでいい。それで幸せ…。」


サユリはアタシにそう言って微笑んだ。


今まで見た事もない素敵な笑顔で…。


「サユリ…。ありがとう。」


今まで、1人だと思っていた。


ずっと1人だと思っていた。


あの事があってから…。


けれど、今、アタシの心の中で何かが変わって来ている。


それは……、アキと出会った時から…。


アキはアタシと同じ目線で近づいてくれた。


アタシは、それをサユリにもしなきゃならないって…。


「サユリ…大丈夫か?」


「…大丈夫だよ。」


「立てるか。」


アタシとサユリはお互い肩を組みながら、立ち上がった。


「ユウ…。」


「なんだ?」


「学校に来なくても、サユリの…携帯鳴らしてね。サユリ、いつでもユウの話を聞きに行くから…。」


「ありがとう…。必ず連絡するよ…。」


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