…正直、どうなんだろう。
アキと会っていると、アキと話していると、訳分かんないんだけど…。
分かんないけど…、本当は…、もしかしたらアタシの中で自然と楽しみを感じているかもしれない…。
ただ、アタシのモットー。
楽しければアタシの勝ち…なのだが、まだ今は、アタシが“楽しまされている”ように感じる。
「実はな、そのアキといると、なんだか楽しいというか、信頼されていると言うか、分かってくれていると言うか…。アキの言っている事は訳分かんねーんだけど…。今までアタシに近寄ってくれる人間なんていなかったから、自分の心のどこかで嬉しい気持ちが出てきたみたいなんだ。」
「近寄ってくれる人間って…。何でよ。サユリがいるじゃない。」
サユリは少しふくれながら、すねてみた。
「そうだったな。ごめん。サユリはユウの大切なクラスメートだからな。」
「ユウ、どうしたの?そんな嬉しい事、今まで言ってくれた事なかったのに。」
「何だか楽しいんだよ。アキと出会ってから。そうしたら、サユリの大切さも分かったような気がしてきた。」
「ユウは信頼してもらえる人を探していたんだね。ありがと。いつでも話なら聞くよ。」
サユリはにっこりと微笑んだ。
しかし実は、アタシの話を聞きながら、サユリの心の中では引っかかる何かが芽生え始めていた。
アタシはその時、何も気付いてはいなかった…。
気付いてやれなかった…。
「今日は、アキさんと会うの?」
「いや、約束はしていない。携帯番号は教えてもらったけど…。また、今晩歩いていたら会うかもな。」
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