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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

最終回   126
「また来年…来ます。」


アタシはお墓に小さく頭を下げそっと呟くと、荷物を持ってその場から離れた。


涼しい風が山を吹き抜けている。


両手に荷物を持ちながら山を下ろうとすると、遠くに誰かがこの山を登ってくるのが小さく見える。


この山は、米倉家の所有物なので、静代以外は登って来ないはずだ。


(誰だろ?)


狭い山道を下りるアタシの目に、ゆっくりと登って来る姿が徐々に大きく映る。


(女…。)


真っ黒なドレスを纏い、白い手袋をはめ、大きな帽子をかぶり顔を隠している。


まるで、自分自身の存在まで隠しているようだ。


少しずつ、少しずつ、アタシとその女の距離が縮まっていく…。


少しずつ、少しずつ…。


そして…、すれ違う。



(…!)



すれ違いざまに感じたこの懐かしい感覚…。


(この匂い…。メンソール…。まさか!!)


アタシはすぐに振り返った。


しかし、その女はこちらを振り向きもせず、何事もないように山を登り続けた。



《完》


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