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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第124回
124
名前が彫られてある。
雄一郎…、そして……康太…。
(雄…一…郎…。康…太…。)
「…事故です。」
静代が呟く。
「事・故…。」
「今から3年ほど前…、とても天気が良かった日曜日…、主人と雄一郎はコウタの手を繋ぎ、ここから少し離れた街まで買い物に出かけました。コウタもすっかり1人で歩けるまでに成長して……、3人で手を繋ぎながら、仲良く…。すぐに帰って来ると思ってました…。いつも通り、笑顔で…。しかし…その町で…、その町で……、車が曲がりきれずに歩道に…。」
(車に……。)
「トラックの…飲酒運転です……。3人とも…即死でした……。」
静代の目からまた涙が落ちる。
「コウタは…、たった3年の命で・し・た……。」
「…。」
真梨子はその事実をすぐに受け止められないのだろう。
目を見開いたまま、呆然と立ち尽くしている。
(飲酒運転…。即死…。たった3年の命…。そんな…。)
『ユウ、お前は、強い目をしている。』
(アキ…。)
『友達は…大切にしろよ…。』
(アキ…。)
『私がいるじゃないか。』
(アキ…。)
『間違ってはいない…、でも、1人じゃないって事をもっと分かった方がいいんじゃねーか。』
(アキ…、アキ…。)
『お母さん、ごめんね…。』
(アキ…、アキ…、アキ……。)
アタシの胸の中に自然とこみ上げてくる。
「じゃあ、じゃあ、アキは!アキは!何の為に今まで頑張ってきたの!何の為に!!自分を犠牲にして、必死で頑張って、コウタ君の為にだけに!何もかもコウタ君の為なの!!あまりにも、あまりにも酷すぎるよ!!何なの!こんな結末って!こんな結末って!!あんまりだよ!!アキーー!!」
アタシはいつの間にかお墓を抱きかかえていた。
そして、泣き続け、叫び続けた。
うな垂れる静代と真梨子をよそに、ずっと、ずっと…。
アタシの叫びがアキに聞こえるまで…。
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