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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

第121回   121
「アキの…、アキと雄一郎さんとの子供の名前は何と言うのですか?」


「…コウタと申します。」


(ユウキ君じゃなくて…、コウタ君…。)


「アキは…、ここから生まれた街に戻り、風俗嬢として、6年間1人で生きてきました。アキは…、自分の体を犠牲にして、毎日毎日、コウタ君のことだけを考えながら生きてきました。コウタ君を思う気持ちだけを生きるエネルギーに変えて必死に生きてきました。それでも…、アキは自分がコウタ君に会いに行くと、周りに迷惑をかけると思い、じっと、1人で耐えていました。じっと…、ずっと…。その時のアキの気持ちを考えると…。ただ、アキ自身は、コウタ君に対して何もしてあげれない事をかなり悔やんでいたようなんです。ユウちゃん、ごめんなさい。バックを…。」


真梨子に促されて、アタシは、隣りにおいてあるボストンバックを静代の前に差し出した。


ハンカチで目頭を押さえながら、静代はバックに目を向けた。


「このバックは…。」


「アキは、1人で体を犠牲にしながらも必死に働き、自ら貧しい生活をしてコウタ君の為にお金を貯めてきました。そして、母親である私にそのお金を託し、自分の子供であるコウタ君の元に届けて欲しいと言いました。元気であれば…、きっと元気だから…、今年の春には小学生になっているはずだと…。アキは今まで母親として何もしなかった私に自分の思いを託してくれました。アキもまた、自分が子供の為に母親として何も出来ない事をずっと、申し訳なく思っていました…。このバックの中には、アキの6年間の思いとコウタ君への愛情が詰まっています。どうぞ…、お受け取りください……。」


真梨子からの要望に、静代はすかさず首を横に振った。


「いや…、これは…、私が受け取る訳にはまいりません。」


「受け取ってください。このお金はアキの全てなんです。アキは、きっとあなたを恨んだりしていないと思います。むしろ、コウタ君を育ててくれて感謝していると思います。ただ、ただ、何も出来ない自分の不甲斐なさを悔やんでいるのです。どうか…、どうか…、アキをコウタ君の母親にしてあげて下さい。私からもどうか…、お願い致します…。」


(真梨子さん…。)


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