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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ 作者:北村 裕志

第113回   113
「早速なんですが…、私は詳しい事は聞いておりません。ただ、アキさんが自分の母親が取りに来るから預かって欲しいと言われていただけなんです。」


「そうですか…。あの…、大変失礼なんですか…、アキとはどういったご関係で…。」


母親の真梨子からすれば一番気になるところだろう。


「今から6年ほど前ですかね。私はこの店ではなく、別の場所に店を出していた頃なんですか…。アキさんが風俗嬢になりたいと尋ねてきたんです。当時、私は、この街の風俗関係のまぁ、自治会長みたいなのをやっておりましてね。どこで聞いたのか分かりませんが、私を訪ねろと誰かに言われたみたいでしたね。」


「そうなんですか。」


「それから、私はアキさんと一緒に仕事した事はないのですか、なにせ狭い街ですからね。顔を合わせることもありますし、アキさんも仕事があるのは私のおかげだと思ってくれているみたいで何かと相談に乗ったりさせてもらってます。」


「それはそれは、アキがお世話になりありがとうございます。」


真梨子は中野に対して深く頭を下げた。


「でも、この前会った時、アキのこと知らないって言ってたじゃん。」


そう、アタシが中野に始めて会った時、アキについて聞いたが確かに知らないと言っていた。


「ユウちゃん、知らないんじゃなくて、ここで働いてないって言ったんだ。それに、ユウちゃんが探しているのがまさか、あのアキさんとは私も気付かなかったんだ。すまない事をした。」


「いえ、そんなことはないです。」


「では、真梨子さん、アキさんから預かったカバンを持ってきますので少し待っていてください。」


そう言うと、中野はさらに奥に入り、やがてボストンバックを持ってきた。


かなり大きなボストンバックで、中もそれなりに詰まっているようだ。


「私は中身を見ておりません。預かったまま保管しておりました。これはアキさんのカバンです。どうぞお持ち帰り下さい。」


「中野さん…、本当にアキがお世話になり、ありがとうございました。」


真梨子はまた中野に頭を下げ、そのままアタシを促しビルから出た。






「多分、この中はお金なんでしょうね。でも、なぜ、アキはお金のまま預けたのだろう。銀行に貯金しておけばいいのに…。」


アタシは当然とも言える疑問を口にした。


「銀行に入れていたんでしょう。でも本人でなきゃこんな大金引き出せない。だから、ユウちゃんの誕生日の前に全額引き出して、お金のまま預けたんだろうね。はじめから…、アキはいなくなるつもりだったのね…。」


真梨子の言葉が寂しく聞こえる。


(そうなんだ…。アキは初めから自分はいなくなるつもりだったんだ…。何だか…寂しいね…。アキ…、今どこにいるの?アキの願い…、必ず真梨子さんと叶えるからね…。だから…、だから…、絶対生きていてね…。)


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