アタシがこの手紙を読んではっきりした事が3つあった。
1つ目は、アキが風俗嬢として働き、質素なアパートで暮していた理由。
2つ目は、自分の母親が真梨子であると知っていた事。
そして3つ目は……、自分の願いを母親に叶えてもらう為にアタシを選んだ事。
(やはり…、ユウを殺す気はなかったんだ…。)
「アキ…、ごめんよ…。私が…。私が…。」
真梨子は変わらず泣き続けている。
アタシは真梨子の気の済むまで泣いて欲しかったが、残念ながら泣いていても解決しない。
「…あの、真梨子さん。」
私の小さな問いかけに真梨子は目を拭いながら顔を上げた。
「ユウちゃん、ごめんなさいね。」
「ううん、いいの。でもね、真梨子さん、アキはどこにいるのか分からないけれど、今は、アキの願いを叶える事が大事だと思うの。」
「そうよね…。」
アタシの言葉に頷き、真梨子は立ち上がった。
「もう大丈夫。私がしっかりしなきゃね。それじゃあ、アキのお金を受け取りに行かなきゃね。」
その為には、手紙に書いてある中野という人物に会わなければならない。
真梨子は自分の携帯を取り出し、手紙に書いてある番号にかけた。
「もしもし…、あの…、中野さんでしょうか?」
電話は繋がったようだが、アタシには中野の声は聞こえない。
「私は…、アキの母親の真梨子と申します。あの…はい。」
どうやら、話は通じてるみたいだ。
真梨子はテーブルの脇にあるメモに手を伸ばし、ボールペンで何か書き始めた。
(住所…。)
「はい、分かりました。ありがとうございます。では失礼致します。」
「真梨子さん…。」
「中野って人に繋がったわ。アキから母親から連絡が来ると言われていたみたいですぐに分かってくれたわ。この住所に5時に待ち合わせる約束をしたの。ユウちゃん…、もちろん来るよね?」
「もちろんですよ!」
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