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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第106回
106
「アキには親として何もしてあげられなかったから、いまさら母親だと名乗り出る勇気はなかった。それにアキも迷惑だろうなって思ったし…。でも、せめて傍にいて何かの役に立ちたいって思ってたの…。」
「アキも…きっと、真梨子さんの想いに気付いてくれていると思うよ。」
「ユウちゃん、ありがとう。ごめん、ちょっと奥に行ってくるね。」
真梨子はアタシにそういうと、店の奥に姿を隠した。
真梨子が奥に入ってすぐに…、アタシの耳にかすかにすすり泣く声が聞こえた。
(真梨子さん…。)
真梨子自身もきっと1人で苦労をしてきたのだろう。
それでも、母親として、アキを助けられなかった責任をかなり感じているに違いない。
アタシは、誰もいないカウンターで、そっと静かに待った。
泣きたい時は思いっきり泣いた方がいい。
それもアキが教えてくれた事だ…。
しばらくして…、何事もなかったように再び真梨子が表に出てきた。
「ユウちゃん、ごめんなさいね。何か食べる?」
敢えて真梨子は普段どおり接しているように感じた。
「ううん、大丈夫。」
「ねぇ、ユウちゃん、私からも1つ聞いていい?」
「うん。」
「私がアキの母親だって事、最近気付いたの?」
「実はね…、以前からもしかしてって思う事があったんだ。」
「私、何か話したっけ?」
「違うの。真梨子さんが吸っているタバコ。」
「タバコ?」
「メンソールのタバコ。アキと同じタバコ。偶然じゃなく、わざとかなって。でもそれは、親子だったら?ってちょっと冗談半分な気持ちで思ってただけなんだけどね。」
「ユウちゃん、すごいね。探偵にでもなれるんじゃないの。」
真梨子はそう言ってアタシに向かって笑ってくれた。
今日、真梨子が笑ってくれたの始めてだ…。
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