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500万とメンソールと17歳のアタシ
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作品名:500万とメンソールと17歳のアタシ
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作者:北村 裕志
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第105回
105
「一緒に死んでくれる人…それが……、ユウの事なんだ。」
「そんな…アキはユウちゃんと一緒に死のうとしてたと言うの?」
「そうだよ…、ユウに18になる前に一緒に死のうと言った。そして…。」
アタシはそこまで話すと、ゆっくりと首に巻いてある包帯を解いた。
少しずつアタシの首が見えてくる。
真梨子はアタシの首筋にはっきりと分かるアザを見て絶句した。
「ユウちゃん…、その首…。」
「アキに締められた跡だよ…。」
「そんな…。」
「…真梨子さん、ユウは真梨子さんに聞きたい事があったんだ…。アキが幼い時に生き別れた母親って……、実は、真梨子さんなんでしょ?」
「…。」
「ユウがアキに首を締められている時、ユウの頬に冷たい雫が落ちてきたんだ。1粒、2粒…。それがアキの涙だと分かった。アキはユウの首を絞めながら泣いていた。そして…、こう呟いてた。『お母さん、ごめんね。』って…。」
「…。」
少しずつ真梨子の目に涙が溢れてくる。
「もしかしたら…、アキは気付いていたんじゃないかな?真梨子さんが自分のお母さんだって事を…。」
真梨子は涙を浮かべながらアタシに顔を向けた。
「…2年前。私も1人この街に戻ってきて、必死だった。数少ない知り合いを頼りながらこの店を開店させて、しばらく経ってから…。一目見た時にすぐ分かったの。自分でも驚いたわ。幼い頃の顔しか知らないのにすぐに気付くなんて…。私はアキが自分の子だと分かっていて近づいた。もしかしたら、アキも私と出会った時点で気付いていたのかもしれないわね…。」
「やっぱり、真梨子さんがお母さんだったんだね。」
「ええ。でも今ユウちゃんが話してくれた事は全然知らなかった。もちろん、子供を産んでた事も…。あの子もずっと苦労してたんだね…。全て母親である私のせいだ…。」
それまで真梨子の目に浮かんでいた涙が我慢できずに頬を伝って落ちてくる。
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