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作品名:死んだらどうなるの? 作者:mikari

第4回   Part 4
日を追う毎にわたしの魂は浄化され清らかになった。わたしは登山を始めた。趣味ではなく新たに追加された修行のメニューだった。山登りにはルールがあって、前にいる魂と一定の距離をあけて険しい山道を登らなくてはいけなかった。お喋りは禁止されていた。山を降りてくる霊とすれ違ったら笑顔で挨拶を交わした。浄化の度合いでその日の登山の距離が決まった。頂上に登れるのは完全に浄化された魂で、新しい命と合体して地上に降りるスタンバイが出来ていた。魂が険しい山に登る理由は、山が神の敬虔な道に繋がっているからご加護を戴く為と、肉体を磨いて精神力をアップさせることが目的だ。

大草原には小川が流れていて、小川をひとっとびで花畑や湖に行かれた。わたしのいる層は、平坦でパッチワークを広げたみたいにどこにいても端から端まで見渡せた。小川の水を動物が飲みにくる事があった。

天国には、毎日おびただしい数の人や動物が到着した。人の場合、天国慣れしてきたところで大草原にやってきて修行を始めたけど、動物は初めから大草原にやってきた。そして、肉食動物も草食動物を1つの大きな輪になって、体を寄せ合って癒される為の眠りについた。動物が修行している姿を見た事がないと思っていたら、ちゃんと修行している事を後で知った。さて、人はと言えば、大抵わたしと同じように垢の層で魂がコロコロしていた。けれども、ヒーリング効果の絶大な大草原で、地上に戻りたいと思うあまり修行に身が入らずに悩んでリラックスできない魂もいた。巡回する天使が相談に乗っている姿を何度か見かけた。でも、ほとんどの魂が修行の成果を発揮していった。わたしの場合は、もう地上にいる友達や家族への未練が、激しい渇きとなって苦しめなくなっていた。懐かしいけど、便りがないのはよい便りのような余裕が心に生まれていた。いつかは、みんなと天国で会えるのだから。

秋のある日、3時のお茶を飲んでいたら霊験あらたかな天使達が降りてきて、紅葉していた景色を初夏の景色に少しずつ変えていってから、ゆっくり秋に戻した。でも、時間は1秒もかかってはいないのだった。マンネリズムにならないよう、魂たちの覇気を高める為に大草原に秘められた神通力を生き生きと蘇らせたのだった。魂の体内時計がリセットされて、リフレッシュされた。すがすがしい気持ちはピュアな喜びと混ざり合って、わたしの魂の中を駆け巡った。あちこちで、「もっと頑張るぞー!」の声が上がって、お茶を楽しんでいたみんながカップを手にやる気満々の笑みだった。誰の瞳もキラキラ輝いていた。


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