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作品名:死んだらどうなるの? 作者:mikari

第12回   Part12
1層にいた時の修行仲間が2層にきた。彼女はドラッグのやりすぎで魂に穴が幾つもあいていて穴から後ろの景色が見えた。今は、落ち着きが出てきて感情のコントロールが随分出来るようになっていた。以前は、しょっちゅう自分に対して腹を立てイライラしてちっとも修行が進んでいなくて、体も心も両方むしばまれてボロボロだったのが嘘のよう。でも、完全に薬が抜けるまで天使のカウンセリングを受けながら麻薬の苦しみと戦わなくてはならなかった。「健康が一番と思い知らされたよ。」天使に言っていた。

ガイドの天使に3層に連れて来られた。わたしの修行場は3層に上がったのだった。初め、2層の時よりも目が慣れるまで暗く感じた。目を凝らしていたら黒っぽさはダークグレーに変わってほっとした。目が慣れてきて3層を見渡したら、大広間のスペースがグンと増えて、草原がまた小さくなっていた。大広間の端に、一定の間隔をあけて丈の短いグラスに赤と白の蝋燭が交互に点っていた。と言うのも、2層のように広間の上にも空が広がっているわけではなくダークグレー色の天井があったから。だけど、わたしはもう、自然の中の方がいいと強く思わなくなっていた。何処にいてもわたしらしくいられる事に変わりはなく、要は心の持ちようだって事に気付いたから。わたしの目が慣れてきたら、ガイドの天使は去っていった。

浄化の修行を終えて一息ついていたら、不思議な魂を見た。見た目は普通。とりたてておかしなところは見当たらない。なのに、急に両足が薄くなってきて消えかかっていつの間にか濃さが戻っていた。後でわかったことだが、彼はサメに襲われて両足を噛み千切られて、残った部分は切断した。生前、手足を失くした魂に起きる現象だって。そして、天国に上がってきた時に両足とも戻っていたけど、当たり前のように受け入れて大喜びはしなかったって。
天国の癒しとパワーはハンパじゃない。

3層に来てしばらくしてわかった事がある。1層は、ブルーヘヴン。2層は、イエローグリーンヘヴン。3層は、ブルーグリーンヘヴンと言うのだそうだ。わかったのは天使に教えてもらったからじゃなくて、魂が研ぎ澄まされて霊力がアップしていっているから。天国にいれば分かる事がカタツムリの歩くスピードで吸収されていっている。

わたしの動き方は、バレリーナが跳んでいるよう。軽やかに飛んで着地もふわりと美しく降りられた。だから、休憩中に、湖にやってきて小石を飛ばして遊ぶのを真似て、わたし自身が小石のようにポンポン飛んでつま先をちょっと水に濡らして遊んだ。

3層では、今までの浄化と山登りと祈りに加わえてSEXについて学び修行する。最初は、男と女の性の違いについて。どういう修行へと展開していくかはこれからのお楽しみ。生前、結婚して赤ちゃんを産むのもありかなって思った時期もあったから、興味が湧く分野でもある


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