大広間では、香がたかれ、魂を安らかにする霊験ある限られた天使が唱えていた。
深い香りが草原にも漂ってきて、浄化の修行を終えたばかりのわたしの鼻腔をくすぐった。 心に、恋のエピソードがふと浮かびあがった。 彼がどれくらいわたしを愛してくれているかが気になって仕方なかった。もっとあなたの愛が欲しいのと彼に甘えていた。だけど、わたしがどれだけ彼を愛していたかにはそれ程注意を払っていなかったように思う。わたしと彼の作り上げた輪は、まだシャボン玉のように脆かったからある日突然はじけてしまった。男と女が出会って恋愛に発展すると二人の間に特別な空気が流れるけれど、二人がしっくりいってかみ合うようになるまでにはそれなりの時間と努力が必要になる。愛は、意識を超越して無意識の状態の時にも「貴方を愛しているよ。」のスイッチが入っていなければ長続きしないし、そこまでになって初めて絆と呼べるのだろう。長年連れ添った夫婦のように。 恋愛は成長の証。愛は、絆の証。 わたしは、この後、短い恋愛を幾つかしておしまいだったけど、みんなが素敵な彼氏や彼女と出会い、幸せになりますように。わたしは祈った。
地球はいろいろな事に進化を遂げてきた。でも、長い歴史の中で愛にはほとんど変化がない。人間は、未来を描いて具現化する才能には秀でていて素晴らしい。なのに、どうして愛などのメンタル面がこんなにも変わらないのだろう?わたしの思考は、原発に飛んだ。調和がなければ、築き上げた社会環境を壊してしまうし、修復できたところで、ある程度のところまでしか整わないだろう。真心がなければ折角掴み取った成功と平和は長続きしないのだ。わたしの祈りは続いた。
天国の神秘的な世界で、沢山の事を学んでいつか地上に戻りたいと願っているわたし。 だから、どうか一人ひとりが思いやりの心を持って生きていって欲しい。ふたたび降りていく時、地上が今より平和で人の心が優しくなっているように。・・・。
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