2翼〜あんたは人間なのか?〜
やっと終わった…。 マジでつまんねぇなぁ。授業は寝るだけだし飯はナオに食われるし、昼休みは雑巾おに(濡れ雑巾をぶつけられたヤツが鬼になる鬼畜おにごっこ)に巻き込まれて被弾するし。
(あと遥の…。)
あーイラつく事ばっかだ。
「おい、ラク。なに黄昏てんだよ。早く帰ろうぜー」
ナオはいいよなー。 幸せそうに生きててよ、オレは毎日が生き地獄です。
「せっかくオレ様が部活休みなんだからありがたくさっさと帰っぞ。」 「オス、帰りましょう兄貴。つか足はもう治るんじゃかったのか?」
こいつはこの間の試合て足を痛めたらしく、部活はちょっと休んでるらしいな。 エース不在でこまってんだろな。
「ジョグくらいはできるようになったんだけどな。練習にはまだ混ざれない。」 「へぇ。練習熱心だな。」 「一週間したら医師にいって、したら復活だぞ。そうなったらお前はオレと帰れなくなるなぁ」 「一週間後が待ち遠しいです。兄貴。」
そんなこと言うとナオのエルボーがみぞおちにっ、ぐえ。 運動部なんだから加減してください。
ちなみにヒロトは補習を受けてる。オレは逃走してきましたけどね。
ナオと話しながら帰ってるとアイツんちのが近いから最後は一人になる。 『一人で帰れんのか?』とかふざけやがって。 あの顔を殴りたいのは密かな夢である。
ナオには小さい頃から負けっぱなしだった。 公園で遊んでても、アイツに行ってもオレんちでもケンカしてた。一回も勝った事ないんだけどね。
(中3にもなってケンカするワケにもな…。)
だから今なら勝てるとか思わないし、する気もない。
(腹減ったなぁ。さっさと帰ろう。)
今日は一段とめんどい一日だったからな。 家で休むか。
楽哉は家に帰る道を急いだ。
    ◆◆◆◆◆◆◆
辺りは闇。 もう街には誰もうろつかない夜。
『彼女』はこの街、いやこの世界を見つめた。
闇の中で黒光りする背中でなびく髪。 闇と同化するようなマントを着込んでこの世界を見まわす。
マントの中は袖のないピッタリとした服を着ている。 おそらく、この世界の物質ではないのだろう。
そのむき出しのてを伸ばし空に向けた。手から先の空間に波紋が浮かび、街全体に広がる。 まるで、何かを、だれかを探すように。
「見つけたぞ…。翼逢楽哉…。」
言葉を残して闇に溶け、『消えた』。
 ◆◆◆◆◆◆
オレは家に帰った瞬間寝たみたいで微妙な時間に起きてしまった。
朝時計をぶっ壊しちゃったから時間はわからないけど相当暗いな。 腹減ったしコンビニでもいくか、と家をでた。
(おー、涼しいな。いや、寒いかも。)
コンビニまではチャリで行けばすぐだけど、歩いて行きたかった。 夜出歩くのって楽しくね?
だかオレはこの判断のせいで後悔をする事になる。さっさと行けばあんなことには…。
コンビニに行く間にちょっとした公園がある。 よくナオと遥と遊んでた場所だ。 ヒロトは中学入ってできた友達だからあとて連れてくるか、と思いながら公園に入ると、すぐに感じた。 違和感 を。
近くにある遊具が、周りに植えられてる木が、 オレを殺そうとらしてる…。 いや公園全体ね空気が敵意を放っているような感覚。
「な、なんだよこれ…」
逃げないと行けないのは分かってる。 だか足が縛り付けられる様に動かない。
「こっちの左翼鳥はずいぶんとお粗末なんだな。」
女の声。多分、この状態を作った正体。 全身黒ずくめの女。黒く輝く髪に漆黒のマント。 黒い格好の人なのだかオレには悪魔のようにしか見えなかった。
「お前はなんなんだ…?」 「ほう。私から僅かに流れ出るフォトンに当てられているようだが、口は聞けるのか。」 「フォトン…?あんたは人間なのか?」 「…貴様にいっても理解できんだろう。」 「なんだそれ!わけわか…」
オレが言葉を止めたのは、 漆黒のマントの下から女が刀を抜いたからだ。 つまり、オレを殺そうとしているからだ。
「斬る。」
そいつは消えたかと思ったらオレの目の前にいて、刀を振り上げている。 多分、高速すぎて目がついて行けなかったのだろう。
格闘技なんかなんにもやってないオレはよけられるはずもなく。
(死ぬ…!)
と思った瞬間、震えてたヒザがガクッと力が抜けて、倒れてしまった。 それと同時に刀が振り下ろされたため、ちょっと髪を切られただけで済んだ。
(伸ばしてたんだけどなぁ。じゃなくて、逃げねぇと!!!)
起き上がり公園の出口を目指す。 明日にの筋肉が壊れるくらい全力で走る。 が、
「面倒だな…。少し使うか。」
女が刀を大きく振るう。 まるで空間を裂くように。
刀の振り自体は距離がありあたらない。 だがラクの前の公園の出口に斬撃を『飛ばした』。
「なっ…んだと?」
まるで東京タワーくらいの巨大な刀で大地を切り裂く様に、その辺りが斬られた。
「お前は人間か、と聞いたが私は人間だ。」
いつの間にか背後に回られたっぽいな。 もう動けない、驚愕と恐怖で。 これは…終わりだ。
背中から胸へ突き刺された刀を見て楽哉は立っていられなくなった。 痛みは感じない。感じる前に意識が消えようとしている。
「ただし、別の世界のな。」
その言葉を聞き、意味を理解する前に楽哉は倒れた。
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