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作品名:EMBRACESKY 作者:あぜる。

第1回   EMBRACESKY 1話 〜日常〜
0翼〜比翼の鳥〜

オレ達は同じ空を、それぞれの翼を並べて飛んでいる。

この空にたどり着くにはどれ程の風を待ち、いくつの嵐を乗り越え、何回翼をもがれかけたのか分からない

そして何回この空夢みたかわからない。

キミと一緒に。キミとオレの翼で。

ー 飛ぼう 翼を合わせて ー



 1翼〜もはや持病だよな?〜

ピピピピピピ…
8:30と映し出されたデジタル時計が「起きろ!!」って言ってる気がする。音量『大』で。

自分が設定しといてうっぜーって思うのは気の毒な気もする。

「……………あー…。」
ピピピピピピ
「……うぅ…。」
ピピピピピピピピピピ
「……うるせ「ピピピピピピピピピピ」

この時計、できる。
てか人間の感情わかんのか?

ピピピピピピピピピピピピ

もう知らん。気の毒でもなんでもねぇよ、この時計野郎。

「うるせぇぇぇ‼」
ピピピピpガッ‼

Winer→オレ。イェーイ

(さて、次はどんな時計買おうかな。)

壊れた時計をゴミ箱にぶっ込んで制服に着替える。
自己ベスト10秒。
ギネス狙えるんじゃないかな、コレ。

(まぁ、授業には間に合いそうだな。)

そして、登校時刻をとっくに過ぎた通学路を走るオレ。

翼逢楽哉 中学三年の初登校日の朝だ。



新しいクラスは始業式が終わった後らしくてガヤガヤしてて、
遅刻してきたオレはあまり目立たずに席に着く事ができた。

ケッコーうるさそうなクラスだな。
まず目についたのは幼稚園からの仲の宮島直樹。野球部のエースで人望厚く、豪快な性格からクラスの中心部にいるヤツだ。

次にわかったのは去年同じクラスになって仲良くなった加藤弘斗。オレと同じで帰宅部だから一緒にいる事が多い。

あ、アイツもいる。
遥だ。空会遥。
ものごころついたときには一緒に遊んでた子だ。見た目は大分イケてるみたいだし。
去年は五回は告白されたみたいだけど、返事が出せずに終わってしまったようだ。単純に好みじゃなかったのか、他に好きな人がいたのかはわからない。
ただ、この子も中心部にいる人間だ。

ナオ(直樹)と遥と一緒にいるとオレまでそっちの方だと思うわれるが、
オレは授業はほぼ寝てて部活もやってないからそんなポジションでやって行けるワケもなく。

ヒロト(裕人)といるのが多い。

「初日からかよっ、ラク!」
ラクってのはオレの事。
ナオ、お前がからかうからクラス全員が笑ってんじゃねーか。
目立つのは苦手なんだよ。

席につく前にヒロトに声をかけておく。
数少ない理解者だからな。

「オハヨ、どうも朝はニガテだ。」
「ピックアップされるのもでしょ?」

さっきの事を言ってんのか。
さすがあんたは分かってんな。

「もはや持病だよね。遅刻しなければ目立たずに済むんじゃない?」
「それができたら始業式には出てたよ」

「始業式くらいちゃんと起きようと思わないの?」

あー女子の声が割りこんできた。
オレ達の会話なんかに入ってくんのはあの子くらいだ

「あ、空会」

そう、それサンキュヒロト。
遥さんでしたー。

「毎日遅刻してるけどその分毎日私は待ってるんだよ?」
「オレ、一緒にいく約束した記憶ないんだけど」
「ちょっと冷たいと思いまーす」

この子と話してると視線あつめるんだよね。
人気あるから。
昔から一緒にだったから意識してなかったけど、中3にもなれば女の子として見るようになるワケで。
幼馴染って損だよな〜。もう対象外って感じだし。

ま、いいのさネクラにそんなハッピーイベントはありません。

「お前いいの?」
「えーなにが?」
「オレみたいなネクラと話してっと好きな奴から印象わるくなっぞ。」
「楽哉はネクラじゃないよ!」

いやそこじゃないッス。
そゆのに鈍感だから答え出せずに終わっちゃうんじゃね?

「あ、授業始まる」

確かにもう時間だな。
だんだん静かになって行く教室でオレは寝る準備をする。

ダルい一日中の始まりだ。

◆◆◆◆◆


ダルい…。果てしなくダルい…。
学校に寝にきてるようなオレは授業なんか受ける事は不可能だ。
一度真面目に受けようと思ってみたけど、案の定ついていけません。

オレの席は後ろの方だからみんなが何してるか観察すんのも楽しい。

同じ列の向こうにはナオがいるな。教科書立てて勉強してる…ように先生からは見えるんだろうな。
一時間目から早弁するなよ。
まぁエースは朝練で疲れてるんだろうね、って事にしとく。

オレの列の前の方にはヒロトがいる。あいつはノート書き写した後は全く話聞かずになんかしてる事が多い。
まぁどっかのバカと違って弁当は食わないけどな。
してることっていえばなんか変な事調べてるんだよな。大抵理解できないけど『パラレルワールド』とかいう奴。
別の世界があって違う生き方をしている自分がいる、っていう。

(そこまでは求めてないけど、なんかないのかね?おもろそうな事)

で、おまけの遥は優等生らしくガッツリ勉強してました。
さすが秀才だよなー、ってあれ。
あいつ絵描いてんぞ…人の絵だな。で、男子だ。制服っぽかったから好きな奴かなんかだろうな。

(誰なんだろな…。遥の…。)

そこで急に顔をキョロキョロしだした。
多分、絵が誰かにみられてたら相当ハズいからだろうな。
あ、目が合った。
すると突然赤面してノートの絵を消してしまった。あの勢いで擦られた消ゴムは…もう助からないだろう。

遥の好きな奴、だれなんかなー。絵描いちゃうほど好きな奴なんだろうな。クソっ。

(アレ、なんで妬いてんのオレ?
遥に好きな奴がいるならなんなんだし!)

自分にツッコむとかもうオレダメかもしれん。


(もう寝よ…。)

睡眠学習バンザイ。


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