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作品名:おウチに帰りな。 作者:j.heen

第13回   【終焉。突然に】あいまいな記憶の中で
気がつくと 薄暗い病室だった。
明け方まで飲み歩いて、最後に寄ったクラブでタクシーに乗せられたらしい。
自宅近くで そのタクシーから降りる時に転倒し、頭を打ったそうだ。
脳にダメージを負った ― 脳挫傷。
峠の時期もあったらしい。
内蔵系の数値もボロボロだった。
2009年11月初めのことだ。

10日間の入院で退院はできたものの、その先が見通せない状態だった。
 社会復帰できるのか?
 後遺症は残らないのか?

とても毎月12万円の家賃を払える状態ではなかったので、
北陸の実家に移転することになった。

保管してあった500枚以上の使用済み下着を
カミさんの目の前でゴミ袋に葬った。
放心状態であり、何も感じない ただの作業だった。


カミさんと私の両親は
 サラ金でお金を借りてまで 援助交際をしていた
という認識だった。
まぁ、その通りだ。

この時期の記憶は、うっすら膜に覆われているように思える。
ダメージを受けた脳から、じわじわ出血していたのだ。


翌月の終わり、
慢性硬膜下血腫による意識混濁を起こし
実家そばの大学病院に緊急入院した。

年末ぎりぎりで退院した時、
まるで生まれ変わったかのように 目に映るすべてが新鮮に感じられた。
恐らく、圧迫されていた脳細胞が解き放たれ
いきいきと活動しだしたのだろう。。


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