気がつくと 薄暗い病室だった。 明け方まで飲み歩いて、最後に寄ったクラブでタクシーに乗せられたらしい。 自宅近くで そのタクシーから降りる時に転倒し、頭を打ったそうだ。 脳にダメージを負った ― 脳挫傷。 峠の時期もあったらしい。 内蔵系の数値もボロボロだった。 2009年11月初めのことだ。
10日間の入院で退院はできたものの、その先が見通せない状態だった。 社会復帰できるのか? 後遺症は残らないのか?
とても毎月12万円の家賃を払える状態ではなかったので、 北陸の実家に移転することになった。
保管してあった500枚以上の使用済み下着を カミさんの目の前でゴミ袋に葬った。 放心状態であり、何も感じない ただの作業だった。
カミさんと私の両親は サラ金でお金を借りてまで 援助交際をしていた という認識だった。 まぁ、その通りだ。
この時期の記憶は、うっすら膜に覆われているように思える。 ダメージを受けた脳から、じわじわ出血していたのだ。
翌月の終わり、 慢性硬膜下血腫による意識混濁を起こし 実家そばの大学病院に緊急入院した。
年末ぎりぎりで退院した時、 まるで生まれ変わったかのように 目に映るすべてが新鮮に感じられた。 恐らく、圧迫されていた脳細胞が解き放たれ いきいきと活動しだしたのだろう。。
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