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作品名:二割増し 作者:涸井一京

最終回   1
私は古い商店街を彷徨っている。ここは随分前には賑わいを見せた商店街なのだろう。今は看板も店も煤けている。構えの大きな店も、今ではその店先でほんの少しの商品を並べて売っている。そこで商売をする人間は、古くなり、客は足腰の弱った老人が杖代わりの手押し車を押しながらやって来る。馴染みの店の馴染みの客がいつもの商品を買う。新しい店で新しい商品を買う気は無い。
見覚えがあるような、無いような、そんな気分にさせる。それは単に古いものを、自分の経験や記憶に拠らなくても懐かしいと感じてしまうせいだ。いや、あの腰の曲がった老人は子供の頃見た、中年の女だ。
だらしなく暖かい。春だ。目に薄い膜がかかったように、全てのものがかすんで見える。花粉が飛んでいるせいだ。いや、気の抜けた季節のせいで、視力もだらしなく、その機能を低下させているのかもしれない。太陽の熱を感じるくらいにひどく晴れている。こんなにも晴れているというのに、通りを行く人は皆、傘を持っている。皆と言っても二人見ただけだが。後に、雨が降るという予報でも出ているのだろうか。信じ難いことだ。
頭に痛みが走り、ふと思い出した。私は昨夜痛飲した。飲みに飲んだ。そして脳みそが麻痺し、やがて機能が停止した。それからどういう過程を経て、ここにいるのかが不明だ。
その時、隣に歩く人間を見てぎょっとした。異様で、尋常ならざる姿をしていた。それはまるで、たった今異界から抜け出てきたかのような印象を持った。本能的に逃げようとしたのだが、行動する前にそれが何者かを認識し、私はうろたえた。それは、ある店のガラスに映った、自分の姿だった。
髪がぼさぼさだったわけでもない。ぼろきれを纏ったような服装をしていたわけでもない。それは目のせいだ。鏡の中の自分と目が合った。その男は相手に恐怖を与える目を持っていた。自分はこんな目をして街を歩いていたのか。暗澹たる気分になる。まるで今さっき人を殺してきたかのような目だ。
でも、すぐに、自分は、自分で思っているよりカッコいいのではないのかと、自惚れたい気分になった。恐怖とカッコ良さは、表裏一体のものだ。
そして思い出した。
そう、私は鏡を買いに出たのだ。そのためこんな商店街を歩いている。昨夜、女と飲んでいた。そして女は、妙なことを言い出した。
「鏡が欲しいんだけど」
「買えばいいじゃないか」
「買って来てほしいの」
「自分で行けよ」
「だめなの」
「なぜ?」
「恥ずかしいのよ」
「なぜ?」
「ただの鏡じゃないのよ」
「なに?」
 彼女は口籠る。
「はっきり言えよ」
「うん」
 しばらく沈黙した後、意を決したように、彼女は口を開いた。その様子にこちらが身構えた。
「美しさが二割増しになる鏡なのよ」
 今度は私がしばらく沈黙した。そして、
「何、それ?」 
「美しさが二割増しになる鏡なのよ」
 彼女は二度繰り返した。二度とも同じように聞き取れた。聞き違いではないらしい。
私は口籠る。次の言葉を発する前に、何とか踏みとどまることができた。
それにどういう意味がある。美しさが二割り増し?鏡である以上それは当然容姿のことであり、心がどうのという話ではないだろう。容姿に関し全く美を備えていない女にとって、それは無意味だ。例えそんな鏡が実在したとしても、割り増しになる美を持ち合わせていない不美人にとって、美が割り増しになる鏡は、ただの鏡だ。
「ねっ、買ってきて」
「ああ」
 断れなかった。心の中を見透かされたとは思わなかったが、女のあまりの奇怪な言動に、私は鈍器で頭を殴られたような気分だった。意識は朦朧としていた。
彼女は新しいおもちゃを買ってもらうことになった子供のように目を輝かせた。
まあ、それもいいかという気になった。そのうれしそうな表情を見たせいではない。事態が流れていく方向に抗いたくないという諦めの感じだ。
鏡が歪んでいて、少しほっそりと見える鏡を想像した。それで美しさ二割増し。まあ、それも良い。もしくは少し曇っていて、はっきりとは映らない鏡。ぼんやりした部分は想像する。良いように想像して・・・、で、おおよそ美しさが二割増し。そのくらいしか思い浮かばない。
ふと頭が回り出した。
「でも・・・」
「何?」
「それって、どういう意味があるの?」
「えっ?」
 彼女の不満そうな表情を見て、悟った。先ず、彼女は何も考えていない。「美しい」という言葉を聞いただけで、全てのことは忘れ去られ、優先されてしまう。さらに私が、彼女の美の追及に対して、疑問を呈することは許されない。彼女が美を追求するのは、呼吸するくらい当たり前のことで、なぜ息をするのかと問われるくらい、彼女にとっては愚問だった。しかも、そのことを私が理解していないなどということは、全く非道なことなのだ。
私には、彼女はそんな女には見えなかった。体型は小太りとデブの中間。それを特段気にしているようにも見えなかった。全く気にしていないわけではないが、食欲には勝てないようだ。いや、おいしく食べることが、生きる喜びそのものという感じだった。したがってそれに勝るものなど存在しない。何かおいしいものにありつくと、「おいしい」と顔をほころばせ、それが素晴らしい芸術であるかのように心底感動する。隣の人にもこの幸せを分けなければと思い、「食べてみる?」と必ず勧めるのだ。家族や知人にそんなことをするのならいいのだが、ある日など、どこかの混んだ食堂でたまたま相席した他人に言ったことがあった。
今晩だって、酒の肴といえば出来合いの総菜だ。素材の悪さをひどく濃い味付けでごまかしている。私はかなりまずいと思うのだが、「結構、いける」なんて言っている。別に舌がおかしいのではない。とにかく、いかなるときでも、肯定的なところを探し出すことが出来るのだ。この味を、「結構、いける」なんて言えるのは、最早才能と言ってもいい。高性能の舌を持っている。ごく僅かな美味を見つけ出す能力が備わっている。
彼女は、美とは別の価値を見出して、生きていこうとしているのだと思った。例えば、他人から性格が良いと言われるように努力するとか。真面目とか、誠実と思われるように努力するとか。実際、人の良さそうな丸い鼻を持ち、男女を問わず、人からは好かれていた。くっきりした二重顎は、他の女たちに安心感と優越感を抱かせた。
「だからさ、鏡の中で自分にそう見えたからって、現実には何も変わらないのだろう」
今度は彼女が口籠る。やはり、あまり深くは考えていなかったらしい。
「自信がつくのよ。多分」
 ボソッと、泣きそうな声で言った。少し慌てたのだが、やさしい言葉は出ない。
「見せかけじゃない」
 嫌味のつもり。いや、そんなつもりではなかった。これで妙な買い物から解放されたとほっとした。が、彼女の方も美に対する欲求は、こちらの想像をはるかに超えていた。ひどく粘り強い。
「着飾って、おしゃれをするのと同じよ。それで中身が変わるわけではないわ」
「でも、それは他人に見える。他人から綺麗に見られる。鏡に映る自分の姿は、他人に見せるものじゃない。わざわざ他人が鏡の中の姿を見に来てはくれないし」
「あら、おしゃれだって他人に見せるためにしているわけじゃないわよ。自分が好きでやるのよ。自己満足でいいのよ。綺麗になりたいっていう自分の気持ちが大切なの」
よく新聞の折り込み広告なんかに入っている、「このやせ薬さえ飲めば、好きなものをあれこれ食べても、食べなかったことにしてくれます」などという御伽噺は全く信じない女だ。よく手に取り、笑い飛ばしている。やはり気になるのかと、少し気を使い、冗談っぽく、「実際、効くかもよ。こんなにたくさん成功例も載っていることだし。次の広告には君が笑っている写真が載っているかもよ」と言っても、「私には効かないわ」と素っ気ない。
「信じられるの?その怪しげな鏡のご利益」
 彼女は黙る。私も黙り、しばらく沈黙が続く。
「どこで見つけたの?そんな鏡」
「あら、流行ってるのよ」
 なんでもない、次の言葉を出すのに苦労した。
「どこで?」
「あたしの家の近所」
「なぜ?」
「流行っている理由を聞きたいの?」
「まあ、それもそうだけど、なぜ君の家の近所なの?」
「まあ、口コミってやつね」
「そのうち、町中で流行るってか」
「まあ、そうなる前に欲しいわね」
「やはり、自分で行けよ」
「みんな彼氏が買ってきてくれるのよ」
「嘘だろ。俺は嫌だ」
「冷たいわね」
 そう言って、心底失望したという表情を見せた。初めて見る顔だ。私の気持ちを試しているだけかもしれない。
「行くよ」
 気が変わった。それは結末を知りたいという欲求のせいだ。
「で、どこへ行けばいいの?」
 彼女は言いにくそうにしている。
「今さら、何を?はっきり言いなよ」
 彼女は目を少し丸くして、ふざけた顔を作ってみせた。
「少し遠くて恐縮ですが・・・」。

その結果として、私はこの商店街を彷徨っている。はずだ。その昨夜からここにつなげる記憶が無いのだ。電車に乗るように言い、そして降りる駅を彼女は指定した。しかしそのように行動した記憶がまったく無い。頭の中を釘が貫いているような気分だ。飲みすぎたせいだ。
なぜ、「あたしの家の近所」で流行っているものが、距離のある商店街の、とある店で売られている。なぜこの辺りで先ず流行らないのだ。第一、なぜ二倍や、十倍でなくて、二割なのだ。疑問が頭を巡るのは、気持ちと足が前に進まないせいだ。
中央に車線も無い狭い幅の道の両側に、一階が店舗で二階が住まいらしい各種の店が並ぶ。肉屋に魚屋に八百屋。どこもいつ仕入れたのか不明の商品を置いている。
彼女の指示したとおりに歩いてきたはずだ。目的の店に着いたので、多分そうだろう。
やって来たのは、何の変哲もない家具屋だ。困ったことに行列ができている。「明日、入荷するのよ」一体どこから情報を得ているというのだ。ちょっとした刺激をきっかけにして、断片的に記憶が甦る。仕方がないので、私も列の最後に並ぶ。
行列に並んで、時間がかかるということは、知っている誰かに見られる可能性が大きくなるということだ。こんな見知らぬ土地で知人に会う確率が低いことは理解できる。しかし、今は悪運を拾う気がする。こんなところを誰かに見られたくはない。針のむしろだ。全く。
ちらちらと店を眺めた。実に何の変哲もない家具屋だ。壁が煤け、厚い木の看板に墨書きされた文字の字体は歴史となりつつある。古い商店街によく馴染んでいる。列に並ぶ人間に目を移す。男は、少し照れ笑いを浮かべながら並ぶ。女が自分で並んでいるのもいる。「みんな、彼氏が買って来てくれるのよ」という言葉は初めから信じてはいないので、騙されたとは思わない。
ふと不安がよぎった。男も自分で使うのではないのか?その不安を増大させるような、友人同士で来ていると見られる二人組の会話が聞こえてくる。いや、少し離れているため、話の内容が聞こえるのではない。少し照れた様な、何かを期待している様な興奮した表情を浮かべる。一体、何を期待しているというのだ。「私は違う。自分では使いません」と心の中で何回か叫んだ。
私は目の前の光景を拒絶するように、昨日のことを思い返そうとした。
・・・・・。何も出て来ない。
やはり会話を終えた後から今までの記憶が無い。そう、これは夢なのだ。だからこそ連続した記憶が無い。そうでなくてはならない。昨夜、飲みすぎて寝込んだ。今、その夢の中にいるのだ。
それは、現実を見れば幻滅する鏡だ。何しろ現実の美を二割減にしてしまう。
行列が動き出し、店が商売を始めたらしいことが分かった。「行く」とは言ったが、開店前から並ぶつもりは無かった。予想しなかっただけではあるが。せっかく来たのだから、手ぶらでは帰りたくない。文句を聞くのが嫌なのではない。女の喜ぶ顔を見たいのだ。理由の如何に関わらず。
自分の番までに売り切れないだろうかと不安になる。まあ、偶然にしろ早めに到着したのは幸いだ。
最初に買って出てきたのは若い女だった。大きな包みを抱えていた。現物を見て、戸惑う自分に戸惑う。せめて隠し持って帰ることを期待していたのだ。しかし家具屋で売るのだ。据え置きの三面鏡のような物の方が妥当だ。運べるだけましなのだ。なぜ手鏡のような物を想像したのだ。勝手な期待と思い込みだ。「送ってはくれないの。持ち帰りしかないのよ」確かに彼女はそう言っていた。ありえないことを期待していたのだ。その包装紙に大きく店の名前が書いてある。多くの人間には、その中身が何か分かるだろう。自分にとっては最悪だ。大きな荷物自体が目立つし、その上恥ずかしい買い物であることを知らせながら歩くことになる。
別に、その女は恥ずかしそうでもなく、自慢気でもない。何食わぬ顔を演じているのでもない。ごく自然に、ごく普通の買い物をしたのだ。彼女にとっては。
次に出てきた女は何かニヤニヤしている。うれしいのか、照れているのかは不明だ。次々に買い物を終えた客が出て来る。
私は順番を待つ。そしてやたらと他人のことが気になる。
この店と通りを挟んだ向かい側に喫茶店がある。その店を囲むように小さな花壇がある。どこからか二十才くらいの美人がやって来て、そこの端に腰掛けた。退屈そうに足をぶらぶらさせた後、暇つぶしをはじめた。小さい女の子のような仕草で髪を編み始めた。やっとそれが出来るか出来ないか位の長さに伸びた髪なので、随分やりにくそうだ。でも器用に編んでみせた。小さい女の子は別に異性の目を気にしてそんなことをするのではない。男の子が飛行機の模型造りに熱心で、うまくできたときの感情に似ている。上手に編めたらそれで満足なのだ。模型の出来栄えを満足気に眺めるように、鏡の中の自分のかわいい姿を眺める。その美人は出来栄えを、鏡で確認しなかったが、うまく行ったのは経験で分かった。随分気分が良さそうだ。
店から初めて男が出てきた。自分で使うのがすぐに分かった。
目が離れ、垂れ下がり、顔の形もいびつ。ひどい醜男なのだが、自信たっぷりに化粧なんかしている。似合わないなんて生易しいものではない。髪の毛は逆立っている。普通に見れば、寝癖にしか見えないが、油でべとついているので、かろうじて自分の意思で逆立てていることが分かる。かなり自己愛の強い男で、前髪をいじりながら、微笑を浮かべ何かをつぶやいた。開いた口からのぞいた歯が、汚い色をしている。歯並びも悪い。前歯が異常にでかい。自らの美しさに酔いしれているようだ。美的感覚のかけらも無い男だ。何しろこの顔を美しいと感じるのだから。「ただでさえ美しい自分が、更に美しさが二割増しになるなんて」そんな心の声が聞こえる。
当然行列を作る人間の失笑を買うはずだと思っていたが、そうでもない。誰もが無視した。みんな自分のことしか関心が無いのか。大事なのは努力であり、結果ではないのかもしれない。
さらに列が動き、私も店の中に入った。意外と広い店内に何人かの客が、中でも行列を作る。
 店の主人と思われる初老の男は、機械的に金を受け取って、無言で箱を渡す。随分、無愛想だ。昔は、そんな商売の仕方ではなかっただろう。自分の番が来ても同じようにした。まあ、どうでもいいことだ。
 店を出ると、ついさっきまで快晴だったのに、辺りは分厚い雨雲に覆われ真っ暗だった。こういうのは苦手だ。子供の頃、目をつぶって次に目を開けたとき世界が一変しているのではと恐れた。どこか知らない所に放り出される感じだ。もしくは、自分だけ置いてけぼりにされるような感じだ。
もうすぐ嵐がやって来る。どうも私は世間の情報から疎外されている。まあ、別にどうってことはない。多少困りはするが。
早く帰ろう。土砂降りになる前に。しかし一体、どこに帰ればいいのだ。ここはどこだ。ここにいる目的はなんとなく思い出したのだが、それ以外はいまだによく分からない。どこにいようとも、金があれば、車を拾って、住所を告げれば自分の家に帰るくらいはできる。幸いさっき金を支払うときに、財布に中身があることを確認している。しかし、自分の家がどこにあるのか分からないでいる。それどころか自分がさっき降りたはずの駅がどこにあるのかさえ分からない。
昨夜から今までの記憶が飛んでいる。それに飲んでいた場所はどこだ。店だったような気もするし、誰かの部屋だったような気もする。自分の部屋ではなかったので、あれは女の部屋だったのか。見覚えが無いとかそういうのではない。飲んでいた記憶はあるのだが、その周りの風景が漠然としていてはっきりとは思い出せないでいる。
これが夢だと解決は簡単だ。目が覚めればそれで終わりだ。どんな悪夢でも、覚めれば解放される。その夢の中で、取り返しのつかないことをして困り果てていても、どんなに嫌で困難な義務が生じても、夢からの覚醒は、何もしなくても全てを解決してくれる。
今、私は箱を手にしている。無論、箱の中身は問題の鏡だ。それなりに悩んでいた答えは手の中にある。鏡の周りに美しい装飾が施されてあって、美が二割増しというのでも構わない。彼女の話しぶりから、その可能性は無い。「美しく見える」というのは自分の姿だ。無い可能性を考ええしまうほどに、この鏡の存在を自分の中で消化できないでいる。彼女がその鏡を見ながら恍惚状態となるのなら、それはそれでいい。多分彼女の場合普通の鏡として機能すると思うが。まあ彼女の才能なら、その鏡も二割増しの鏡にしてしまうだろう。
旅行そのものを楽しむ者もいれば、それを計画しているときが一番楽しいという人間もいる。希望というやつは見えていれさえすれば、それでいいものなのだ。実現する必要は必ずしも無い。彼女は、「ほんの一瞬でも現実を忘れる必要がある」と言った。忘れたいほど醜い顔をしているわけでない。愛嬌のある顔立ち。そういう意味合いにおいてはかわいいのだ。時々それとなく伝えようとはするのだが、あまりうまくは行かない。まあ、これを持って帰って、彼女が喜ぶのであれば、それはそれでいい。
ボタッと大粒の雨が落ちた。急いで帰ろう。いや、もう間に合わない。何しろ帰る場所がどこかさえ不明なのだ。私は向かいの喫茶店に駆け込んだ。取り敢えずは、ここで雨宿りしよう。それが最善と思われた。
店に入り、「紅茶を」と注文を告げた。「え?」店員は聞き取れない。向かいの店からこの喫茶店に駆け込んだ、その短時間の間に、雨は、人の声が聞き取れないほど大きな音を立てていた。


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