「俺のやるべきことは……終わった」
ギャレスはそう言うとゆらりと力無く立ち上がった。 「伝えるべきことは伝えた。こ、これで終わり」 ギャレスは片足で椅子を蹴った。椅子は乾いた音を立てて床に倒れた。 「俺には何の意味も無いことさ。あんたらのま、ま、前に、姉が、アマンダが現れたって言っても、おおお俺には関係無い」 そう言って、リーガンとエマーソンを流すように一瞥し、奥へと歩き始めた。 「アマンダが……死んでいる?」 リーガンが呟いた。 「まさか! 俺達はあのシェルターに避難してから、ずっと一緒にいたじゃないか! あのアマンダが……何だ? 気でも触れたのか、ギャレス」 「ききき気が触れないのがおかしいだろ。こんな終わった世界、先にあるのは更なる破壊、ぜ、絶望、そして……虚無だ」 虚無。この言葉が否応がなしに重く心に響いてくる。 「この天変地異だって、何故起こったのかさえわわ分からずじまいさ。まるでか、か、かか神の怒りにでも触れたかっていう感じさ。俺はか、神なんて存在は信じちゃいない。今でもな。でも、あんなバケモノ見ちまったら、じじ自分が一体何を信じていいのか、信じてきたものがなな何だったのか、分かんなくなっちまう。でもいいのさ。別にそこまで分かる必要なんてな、ないだろ? 人は何でも知りたがる。おお俺だってそうだ。だが、そそそんなことに意味なんて結局何もなかったのさ」 ギャレスは両腕を天井へと伸ばすと続けた。 「確かにこの世界はお、お俺達が暮らせるほど大地が豊かだった。皆に恵みを与えてくれた。『人生は自由で美しい』ってのはたた確か、チャップリンだったか? 言っていたな。だがど、どうだ? 俺達は自分の進むべき道を踏み外していた。よよよ欲は人間の心を汚染し、憎しみと共にせ、世界を閉鎖し……不幸! さささ惨劇へ! そう、まっさかさまにおお俺達は落っこちた。自分自身をこ、孤立させた。貧困を作り上げ、余計な争いをう、生み、互いに傷付け合い、殺し合った。おまけに俺達が求め続けていたもの、そしてあんた達がここへ来た目的、そう、『知りたい』ってよ、よよ、欲望! こいつは俺達を皮肉にし、知恵は俺達を冷酷、無情にした。まま間違ってるって言い切れるか? え? 俺達はやたらか、かか、考え過ぎ、しかし感じ無さ過ぎた」 ギャレスの口調が次第に荒くなっていき、口角に唾の泡を立てながら、唾飛沫を飛ばしながら、更に言葉を続けた。 「愛? 情? 絆? そんなものくくく糞食らえだ! 何だかんだ言ったって、俺達が進んで来た誤った道を正すことなんて、け、け結局無かった。それどころか、ああああんな得体の知れない、薄気味悪いババババケモノが出て来やがった……何にも出来なかった。だろ? 知識も知恵も、き、き、奇麗事もざ、ざざ、戯言も、じ、常識も摂理も法則もててて定説も! 何にも役にた、立たねえまま、俺達はし、し、死ぬのをただ待つだけになっちまった……く、くだらねえ。頭でっかちになったただのサルは結局、わわ、分からずじまいの力でと、と、淘汰されるだけなのさ」 「ギャレス… 止めて」 リーガンが言う。 「止めるさ。何もかも」 ギャレスはへへと笑いながら返した。 「もう帰りな。かか帰る所が、の、残っていりゃあいいけどな」 そして二人に向かって指を指し、更に言葉を続けた。 「もう一つ言っといてやる。や、奴らは固有の形を持たない。何でもすり抜け、はは入り込み、出て行ける。まるでほ、放射能みたいにな。で、何にでもす、姿を変え、化けやがる。人のこ、心を見透かしたみてえに、見たくないもの、あ、会いたくねえ奴、そして……会いたくてもあ、ああ、会えねえ奴に化けて、こ、心を惑わし、そしてただの冷てえむくろにお、おお、俺達を変えさせる。んなバケモン、ど、ど、どうやって立ち向かう? こんな惨状がお、起こり始めた当初、あの糞ったれヴァチカンがあ、ああ、悪魔は存在するなんて声明を出していやがったが… そんなことはし、知らねえ。アマンダがし、し、死んだってのは本当の話さ。あんた達の前の、どど、ど何処の馬の骨かも分からねえ『アマンダ』に宜しくい、いい、言っといてくれ」 ギャレスはよろめくような足取りで奥の部屋に入り、扉を閉めた。がちゃりと内側から施錠する音が聞こえた。 「ギャレス……ギャレス!」 エマーソンが叫ぶ。 「か、帰れ! 今そうやって生きているうちにな!」 そして声は止んだ。何の呼び掛けにも応じようとしない。 「フリッツ……」 リーガンはエマーソンの顔を見た。その表情は心無しか引きつっているように見受けられる。 「朝になってから出ようと思っていたが……そうも言ってられないようだな」 エマーソンもリーガンのほうを向いた。
その瞬間。 ギャレスの入った部屋から乾いた破裂音が響いた。 そして何かがどさりと床に倒れこむ音。 「……ギャレス!」 リーガンが叫ぶ。だがやはり返事はなかった。
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簡易ベッドに腰掛けていたボーディンは今、口をあんぐりと開けたまま、目の前に佇む女性を見詰めていた。 「何で……」 生成り色のシュミーズ姿の女性は口を開いた。 「私は貴方のことを忘れたことなんてなかったわ、ケネス」 女性はにこりと微笑んだ。だが何処となく物悲しげな笑みである。 「そ、そんな馬鹿な……だって君は……」 「ええ。でも貴方の心の中に私はずっと存在していた。決して忘れることはなかった。でしょう?」 そう言うと、女性はゆっくりとボーディンの傍へと歩み寄った。 「怒って……いるのか?」 「私が? 貴方のことを? まさか」 女性はボーディンの前に立つと、ゆっくりと腰を屈め、口を半開きにし、目を大きく開いたままの銀髪の男の頬を両手で包み込んだ。 「貴方はずっと思い悩み、そして苦しんでいた」 「あ……ああ……」 全身の力が抜けていくのをボーディンは感じていた。 「私が死んだのは貴方のせいじゃない。それにあれからもう五十年も経ったのよ」 「シンシア……だが私は……あれは間違いなく私のミスだった。あまりにも無謀すぎる賭けだった」 「いいのよ。貴方は私を助けようと頑張った。貴方は貴方が出来得る限りのことをした。精一杯やった。もういいじゃない」 外科医師だったボーディンは昔、一人の女性を死に追いやったという悔恨にずっと苛まれていた。その患者はシンシア。ボーディンの幼馴染みであった。先天性の心臓疾患を抱えていた彼女にボーディンが出来ることは限られていた。一九六〇年代においては世界初、一人のドナーから四人のレシピエントへ心臓、片肺、両腎臓を移植する手術が行われたものの、それはお粗末なものであった。 最初の心臓移植は一九六四年、ミシシッピー大学病院のジェームズ・ハーディによってチンパンジーの心臓を移植したと言うもので、この時は、移植した心臓が九十分しか鼓動せず、失敗に終わっている。その後、技術は革新的に進歩し始めたものの、そんな外科技術は、まだ一般的な臨床現場においては普及していないものであった。無論、手術費用がとんでもなく高額であったことは言うまでもない。 片田舎に住んでいたシンシアにそんな費用が支払えるわけもなく、ボーディンは当時の医学論文や技術書を読み漁り、当時勤めていた病院の反対を押し切り、無理矢理に手術を行ったのだ。合法的にドナーを得たわけでもなく、路上で行き倒れになっているホームレスを「保護」し、遺体となったところを見計らい、その心臓を使って無謀な術式を行ったのだ。この時、ボーディンに協力した医師もいたにはいたが、彼等ともども有罪となった。 同僚には殺人幇助が適用された。そしてボーディンの場合は、ホームレスの遺体の司法解剖の結果、生活反応が無かったが故の、死後の心臓摘出という事実が証明出来たはものの、シンシアに対する殺人罪及び、瀕死の者を死後の臓器摘出の目的から「悪意を以って」死に至らしめたこと、そしてその死体に対する損壊の罪が適用され、逮捕、収監された。ボーディンを担当した弁護士は、シンシアの死に対しては「業務上過失致死」を、ホームレスに対してのネグレクトに対しては情状酌量を主張したものの、社会的な影響があまりにも大きすぎると言うことで、第二級殺人罪が適用されたのであった。第一級に該当しなかったのは奇跡であった。だが医師免許は当然の如く剥奪され、新聞などのメディアに散々叩かれ、ボーディンにとって振り返りたくない過去を積み上げることとなってしまっていた。 三十年の服役を終え、出所した後は田舎に戻り、実家の農園を引き継いで生活した。両親が死んだ後も一人で結婚もせず隠居のような生活を送っていたが、数年前に農園を売却し、その金でニューヨークで一軒のデリを経営することを選んだ。 家族と呼ぶことの出来る者は一人もいない、孤独な生活。家族を持とうとしなかった、結婚という選択肢を選ばなかったのは、過去の自分の取り返しの付かない失態に苦しむが故である。直接手を下してはいないとしても、臓器欲しさで一人のホームレスが死すところを傍観したこと、更に結果的にはシンシアを殺してしまったという自責の念に他ならなかった。 ボーディンは自身の心の監獄に囚われたまま生きてきたのである。 「私はそんな貴方の心を救いに来たのよ」 「私は……やはり死ぬのか?」 ボーディンは察していた。目の前のシンシアは当時死んだ時の姿のままであった。幻覚であろうと、そんなものを目にし、触れられ、その手の温かさを感じていた。現在の状況を考えてみると、自分の死期が近付いているとしか考えられなかった。 「死は決して終わりじゃないの。私は今こうして、貴方の前に現れている。信じる信じないは貴方次第。でも私はこうして貴方の前にいる」 「シン……」 ボーディンの頬に涙が流れた。 「私は力を貸してもらって、今こうやっていられるの」 シンシアの言葉は変わらず穏やかで優しい。だが、この言葉にボーディンは一種の胸騒ぎを感じた。 「力を貸してもらっている?」 「ええ。彼等は貴方のような苦しむ人を救うために現れた。拭いたくとも拭い切れない、永遠に続くかもしれない後悔や苦痛を消すために、人を救うために……」 「救う……ために……誰がだい?」 ボーディンはシンシアの目を見つめながら訊いた。 だが、そこにいたのはシンシアではなかった。 「ア、アマンダ……!」 ボーディンの頬を包み込むアマンダの両手に力が入った。 「全ての苦痛は虚無に帰することで全て消され、人は癒されるの」 アマンダの両目が赤く光り始めた。 「な、何を言って……!」 「私達を受け入れなさい」 「受け入れろ」 聞いた覚えの無い暗く冷たい声がした。アマンダの横には、あの時のホームレスが立っていた。その眼窩には眼球は無く、ぽっかりと開いた黒色の穴がボーディンを見据えている。 アマンダの全身から黒色の煙状のものが一斉に吹き出し、ボーディンの全身を包み込んだ。その直後、銀髪の老いた男は物言わぬ肉塊となり、床にどさりと転がり落ちた。 アマンダ・フリードマンの姿をしたペインキラーはゆっくりと踵を返し、ボーディンの居室から出て行った。
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「パパ」 聞いた声だ。懐かしい。そして決して忘れることのない声。 「パパ」 シュウは振り向いた。 いつもの見慣れた、そして殺風景な廊下である。 だが、そこには見慣れない子供が立っている。 いや、見慣れないわけではない。忘れもしない少年の姿だ。ただ、この施設に子供はいない。それどころか、この少年がここにいる筈がないのである。 「永輝(えいき)!」 シュウの一人息子である。永輝は英語名にして「エイク(Ake)」と発音出来るので、英語でも日本語でも困らない名前をということで付けた名前である。勿論、そんな安直な理由だけではない。常に輝き、そして人に輝きをもたらすことの出来るような人物になって欲しいという思いがあっての名前である。 永輝はにっこりと笑みを浮かべていた。 シュウの膝が震えた。 妻であった伴侶の女性を軽んじ、顧みなかったシュウは、結果的にその女性と離婚した。その際、永輝は妻に引き取られ、シュウは単身での生活を送ることとなった。息子との面会を望むシュウは、数回の裁判での結果、月に一度は、十時間という制限時間内で永輝と二人で過ごす権利を勝ち取り、そのひとときを過ごしていた。前線にいる時は月一度のビデオチャットで会話もしていた。 負傷して入院、その後一旦米国へ帰国してから、元妻と息子が日本へ渡ったという話を聞いた。東京の世田谷区にある、元妻の実家へ帰ったと言うことであった。 その後間もなく、東京を件の竜巻が襲った。数百に及ぶ異常なまでの雲の渦は都内二十三区を完全に破壊した。 それ以来、息子の消息は不明であった。行方不明者のカウントの中に含まれていることになったものの、シュウは息子が死んだとは信じられなかった。現実を受け入れなければならないという思いはあるにせよ、そこはリーガンのジョシュアに対する思いと同じである。その目で確かめたわけではない息子の死など、到底受け入れられなかったのだ。 その永輝が今、目の前に立っている。そして変わらぬ笑顔でシュウを見詰めている。 「どうして……」 「どうしてじゃないよ! 会いたかったんだよ、パパ!」 永輝はそう言うと小走りでシュウの元に寄り、腰にしがみついた。 そして泣き出した。 「パパ……怖かったんだよ。本当に……怖かったんだよ!」 その泣き声は大声になっていた。少年の頬を大粒の涙が幾つも幾つも流れ落ちている。 シュウの表情が崩れた。頬を涙が流れ落ちる。 シュウはしゃがみ込み、そして永輝を両腕で力強く抱き締めた。 「えいちゃん……永輝! パパも会いたかった!」 永輝の体は温かかった。 「寂しかったよね……怖かったよね……ごめんね、傍についてあげられなくて」 「僕、パパと一緒にいたかったんだよ……ママはいつも怒ってて、苛々してて……」 「永輝、ママはどうした?」 「ママはいないよ。僕だけ」 息子だけが生き残った。あの惨禍の中を息子は一人生き残り、そしてここまで辿り着いたのか……どうやってここに来たのかなんてどうでもいい。今は愛する息子がここにいる。離婚したとはいえ、息子の母親が死んだと言うことに対し、シュウも心が痛んだ。だが、今息子はこうしてここにいるのだ。不幸中の幸いと言うと語弊があるやもしれぬが、それでもシュウはそう思った。 神様も粋なことをしてくれるものだ。そして心から感謝の念を感じていた。ありがとう。息子に会わせてくれて、本当にありがとう。 「びっくりしたわ」 アマンダの声がする。 「シュウ、貴方の息子さんだったのね」 「アマンダ! ああ、そう、そうなんだ。僕の一人息子、永輝さ!」 アマンダはじっとシュウを見詰めていた。シュウは満面の笑みを浮かべている。 「ふうん……」 アマンダは他人事に対する相槌としか思えない返事をした。確かにアマンダからすれば、シュウが息子と再会出来たことは他人事ではあろうが、それでも何かしら冷たい雰囲気を醸し出している。 だが、そんなことは今のシュウにとっては大したことではなかった。 「人の心の防壁って……こうも脆いものなのよね」 アマンダは言った。 「え?」 シュウはアマンダの放った、全く想像出来ない言葉を聞き、自身の耳を疑った。 アマンダはシュウをじっと見詰めたままでいる。 「どんなに強がっていても、結局それはやっぱり、ただの強がりでしかないのね。貴方の突っぱねていた心が今、溶けたアイスクリームみたいにどろどろになっている」 アマンダが何を言っているのか、シュウには理解出来ない。 「シュウは離婚したんでしょ? それで愛する息子さんと離れ離れになった」 そんな話をアマンダにした覚えはない。 「何故……そのことを知っている?」 その時、シュウはぎょっとした。 目の前にはアマンダが立っている。だが今立っている彼女の顔は墨のように真っ黒であった。顔だけではない、衣服から露出している体の皮膚の色が全て「漆黒」であった。 そして真っ赤な瞳。 「パパ」 永輝が呼び掛けた。シュウはふと息子に視線を戻した。自分の腰にしがみついている息子の顔も黒色である。烏の羽毛のような漆黒の皮膚に、白い眼球の中に鎮座する真紅の瞳が異様さを醸し出す。
「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
永輝の姿をした「それ」は口を縦に細長く開き、感情の全く入っていない淡々とした大声を上げ始めた。 咄嗟に「これは息子ではない」と思ったシュウは、「それ」を自分の腰から引き離した。その途端、それは黒色の煙となり、天井に舞い上がったかと思うと、シュウの頭の上から一気に振り掛かって来た。 シュウは脇に飛び退いてそれを避けた。煙は直前までシュウが立っていた床に当たり、跳ね上がるように勢いよく舞い上がると、アマンダのほうへと向かっていった。 アマンダは右手を上げ、前方に手の平をかざした。煙はその手に吸い込まれていった。 「アマンダ……?」 シュウは再びその名前を呼んだ。だがそれがこれまでのアマンダ・フリードマンではないことは、既に理解出来ていた。
「私の名は……『悔恨』」
黒い煙がかつてアマンダであった「悔恨」の全身からゆらゆらと立ち上り始めた。 「お前は……!」 シュウの内から怒りの感情がこみ上げて来た。このペインキラーはこともあろうに自分の心の中を覗き、やってはいけないことをした。愛する息子の姿を、偽りの姿を自分に見せ、そして襲わせた。 「お前の心の中には息子がいる。息子を手放した自分自身に対する怒り、後悔、懺悔の念がある」 淡々とした声で、それも実に聞き苦しい、耳障り極まりない声で「悔恨」は語り掛けてきた。 「知ったようなことを言う!」 シュウは人の心の中にずけずけと踏み入る者が好きではない。この「悔恨」なるペインキラーはその中でも、自分の心の傷に荒塩を塗りたくるようなことを平然となした。 怒りの感情が抑えられない。 「ふん」 シュウをじっと見詰める「悔恨」は鼻で笑うような音を立てた。 次に出た「悔恨」の言葉は、シュウが考えも付かなかったようなものであった。
「私は……私達はお前が抱いているような感情から生まれた」
黒色の煙が一瞬、「悔恨」の頭上で束になったかと思うと、「鞭」のようにしなり、シュウ目掛けて打ち出された。シュウは横に飛んでそれを再び避けると、腰から銃を抜き、「悔恨」目掛けて数発撃ち放った。だが弾丸は「悔恨」に命中したかと思うと、当たった箇所で黒色の煙が拡散しただけであった。弾丸はその場で蒸発したかのように掻き消えた。
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