ねぇ暁人さん。 あの日から私は前に進んでいるのかな?今でも夢で見ない日はないよ・・・
オレンジ色の景色に灰色のアスファルト
黒い人影が二つ 影の一つは横たわり赤く染まっている もう一つの影は壊れた玩具のように同じ事をずっとつぶやいている。
「ごめんなさい・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・」
あぁ、これは高校生の私。そしてこれは間違いなくあの日の光景。
高校2年生の冬。郵便局の年賀状仕分けのバイトの帰り道。親に内緒で付き合ってた大学生の彼。 情緒不安定な私。些細な喧嘩。彼の困った顔。大きなブレーキ音に何かがぶつかった衝撃音。 誰かの悲鳴みたいな声。真っ赤な道路。野次馬。
頭から血を流し倒れている彼。
彼の近くに行くことが出来ずに野次馬の先頭に立ち放心していた私。一瞬彼が私を見た気がした。 「・・・・・・・・・・・・・・」
何か言った気がしたが、目の前の出来事に頭が追いつかず私はただひたすらその場で立ち尽くしていた。意識がハッキリと戻った時には何故か私は家にいてすでに寝巻きに着替え終えていた。事故の後から帰宅して就寝するまでの間の記憶があまりにも曖昧だったが、とりあえずその日は寝ることにした。それからだ・・・。この過去を毎日のように夢の中で繰りかえすようになったのは。
ふと同じ事を呟き続ける私に目を向ける。彼の頭の側に座り込みずっと謝罪を繰り返す。実際には放心して彼の側には近づかなかった。きっと今もある彼に対しての複雑な思いが過去の私にそうさせているのだろう。
しばらくこの光景を見ていると足元が歪んでいく感覚に襲われる。これが目が覚める合図だ。足元が歪んでいく感覚は決して心地のよいものではない。周りの景色も歪み底の見えない黒一色の世界に過去の光景と一緒に引きずり込まれていく。最近は慣れたものだがこの夢を見出してしばらくは寝汗をビッシリかいて起きていた。それくらい私の目覚めは悪い。
こうして彼がいない世界で私の一日が始まっていく。
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