決定的な瞬間というものがある
その女はその瞬間を向えていた
体は胸を膝で押さえつけられ
首には剣の刃が当てられ
頭は男の手で髪をわしづかみにされていた
刃が首に食い込むのを覚悟して女は目をつぶる
首に皮一枚食い込む
それがわかるほど女は何度となく剣を肌に受けてきた
だが刃がそれ以上食い込むことはなかった
その代わりに男の唇が女の唇に触れる
戦いで敏感になってる肌に
男の手が差し込まれてきても
女は身動きはしなかった声ひとつあげない
ただ一筋の涙でその時間を耐えたのだった
あれから5年の月日がたった
依頼遂行中
男が2人女が2人子供が1人
ある意味バランスのとれたといえようが
男女は完全武装
子供と夫婦であろう3人は村着のままの旅路である
なんとなく慣れた者なら違和感も感じるだろう
そんな5人がほどなく小さな名前もない町にたどりついたのは夕刻
「大部屋貸切で1つお願い」
「大部屋っていうと12人部屋ですが…」
「いいから大部屋を1つお願い」
「わかりました」
大部屋というと金のない1流とは言えない冒険者たちが雑魚寝程度で借りるのが普通
だが
武装した女、カリハスは貸しきりという非常識な借り方をして4人でその部屋最上階
に上がっていく
「どうせなら地下部屋がある方がいいのだけどね」
そんな台詞を村着の男タロンに言いうと
「それは先払い内の経費をどう使おうと自由ですが男性の方はどちらに?」
カリハスは肩をすくめ
「さてね。たぶん娼館でしょ。夜は私1人で面倒みます」
少し不安な顔をする奥方に向って
「これでもそこらの男よりは強いから」
と臆面無く言って部屋の扉をあけた
「あら、言った12人分のベットが用意されてるのね珍しい
それならそれで好都合だわ」
女はそう言って部屋に3人を招きいれた
依頼人の3人を招き入れると
カリハスは扉を閉め扉に呪文をかけていった
それが終ると次は12台あるベット一つ一つに呪文をかける
タロンも実は魔法を会得している者だったが
彼女がかけているものは何かわからなかったが
深夜にそれがどんなものかわかることになる
軽い食事をすませて
もう一度、部屋に戻ると
カリハスに指定されたベットにもぐりこむ
旅なれしてない
特に幼い子供シャイナなどはあっと言う間に眠りについていた
深夜になるとカリハスは何かの気配で目をさます
たいした気配じゃない
しかしどこかに違和感のある気配
服も武装も昼のままである。そのまま剣を構え部屋の中央に立つ
次の瞬間
ガチャーン
2階であるはずの窓が割られ一人の男が飛び込んできた
動きやすい体に張り付いた服に覆面
完全なアサシンスタイルである
カリハスは着地を待たずに仕掛けるが
あっさり受身をしてきたところを見ると
向こうもこちらの気配が動いたので忍ぶ意味なしと
大胆にも飛び込んできたようだ
カリハスの剣は静かだか容赦ない
確実に一手一手敵の急所を捕えていこうとするが
その一手を確実に交わしては逆に攻撃に転じてくる
短いしかし長い戦闘が部屋の中で続く
途中無意味に敵がベットを剣で叩きつけるが
無意味ではなくそこに依頼主たちの幻影があるからだ
その隙をついて軽いながらも確実な傷を負わせていく
それに沈黙でそのやり取りをしていたわけでない
カリハスの左手が相手のがっちりした胸を軽くはじくや
敵はいきなり窓際にぶつかるほどの勢いで吹き飛ばされる
そのまま窓際に追撃するカリハス
だが敵はそのまま飛び上がると反転後ろに返り窓の外にでていった
タロンが一言
「"行動中呪文"が使えるのはさすがですね。しかし一人ではこれで心細いこともわか
ったでしょう。
明日はお2人で護衛をお願いします。」
そう言ってきた。
彼は気がついていない。
カリハスは最初に立った中央より奥に敵を一歩も近づけさせなかったことを
だがカリハスは素直に
「了解してる」と言った
敵をやり過ごしたものの
多少荒い息が決して楽な相手じゃなかったことを示している
軽い相手なら10分かなりのスピードで相手をしても
簡単に息が乱れるわけがないのだ
朝食時間、旅支度を済ませて
食堂に下りてくると
すでに相方と呼んでも構わないくらいには旅を一緒にしてきた
ホルズの姿があった
横目に先に宿の修理代を払い
そちらの台に向かい隣に席をもつ
開口一番
「今晩は楽しみ抜きな」とボソっとカリハスがいう
武装した男ホルズは
「ほーっ」
となにか楽しげに声をだした
「ただの家内魔術師には十分な敵なことだな」
「"家内魔術"が悪いことじゃないですよ。
争いには向きませんが大きな魔術のほとんどは
家内魔術から派生しています。」
とタロン
「それはそうね。昨日の寝具かけた魔法もそうだし」とカリハス
「問題なのは何故と何時までよ。家に戻れば教われないわけではないでしょうに。」
「お約束いただいたのは家までですが、家に入ればそれ相応の支度というか護身もで
きますので、
ただ、何故かは私が知りたいですね。
わかるのはトアロルの町に出張して仕事を終えた帰りに貴方方を紹介されたのです
家までの護衛にと、お金もあちらが用意してくれたものですし、
ですから関わった魔法がやばかったのだととか思えません。
こちらはのんきに家族旅行くらいの気持ちでいたのですが…」
「それは難儀なことに巻き込まれたわけだわねー。
んで、何の魔術手伝ったのさ」
「透過の魔法というのですか?物質を物質に通す魔法ですね。
テレポートの原理をもってすれば可能なわけですが…
実際に物質に物質を通すとなるといろいろ弊害がありまして、
結局成功はしなかったですね。」
「…なにか預かったものとはないの?」
「特にはついでに魔術師ギルドに預けて欲しいと言われた石くらいでしょうか。
トアロルの町にはギルドがないですからね」
「ここらであるのはタキトシだけだわね…たぶんそれだわ。
魔法の補助よりもその石届けるのが目的だったのでしょう」
「実験、失敗しているのに、じゃなきゃお金払ってまで護衛つけさせないでしょう」
「そんなに重要な石なんでしょうか…なら最初に言ってくれないと…」
「いや…護衛雇えと言われた地点で怪しんでください…」
「どちらにしろ魔術師の家の中を襲う馬鹿はそうそういない。
やはり移動してる時が一番狙いやすいだろうしね。
何かはわかんないけど魔術師ギルドまでが目的地と決まったね。」
「それじゃ、もう2日ほど頑張りましょうか」
そう言うとほとんど食べてない朝食をカリハスは急いで食べだした。
歩き出すと緑が気持ちいい
こんなときは気をゆるめてゆんるり歩きたいものだが
目的と護衛がある以上そうもいってられない
そうしてなぜかそんな時にろくでもない奴はでてくる
「金目のものだしなそしたら殺さず通してやる。」
「嫌だといったら?」とカリハス
「殺して奪うだけさ」と野党
「なら決まりね。殺してあげる」
ホルズが3人をかばうように後ろに下がる
同時にカリハスは野党に向かってく
剣さえぬかない一蹴りで相手の剣を奪うと
一斉にかかってくる野党たちを片っ端から殺していく。
手抜き無し即死彼女の剣は見事なほど容赦ない
ホルズがつゆ払いにこちらも素手で2.3人し止めただけだ
5分後逃げてく野党の一人に剣を背中から串刺しにし
「もう野党はでないでしょう。いきましょう」とカリハス
血の海を死んだ人たちをどうにかさけて一向は先に進んだ
「昨日は手を抜いたのかね?」とタロン
「手を抜いてるとしたら向こうね。私は全力だったわ 少なくとも今よりはね。」
そう言ってカリハスはわらった
いま10人以上軽く殺したことなどわすれたように
次の町に行くまでにもう一組襲われた
こちらは間違いなくプロだった
3人組のアサシンで狙いもタロン一人だったが
どうにか片付けて進んだというより
余程腕の立つアサシンでもない限りホルズとカリハスを裂けるのは不可能
タロンもそのことに気づきはじめていた
あっさり10人以上を殺す女が私より強いという男を連れている
正確には逆なのだが護衛の場合は女が連れている方が
何故か話がスムーズにいくのだ
ホルズの性格にも問題があるのだろう
ともかく一向は町に入ろうとしているところだった
そこらでぶらぶらチンピラ風の男たちが一斉こちらに向かってくる
林の中からも一斉に総勢20人ほどが襲ってくる
「おいおいいったい何の石なんだ?」
無駄口をたたいている間に
カリハスは呪文を仕上げる薄赤色の半円
「3人とも絶対にこの中からでないで
そういうとホルズとカリハスは円からでていく
一投目が円にはじかれるとはじかれた剣を手にし
カリハスは敵陣に突っ込む
ホルズも一人を素手で骨をへし折ると相手の武器を奪い
敵陣に突っ込む
どちらも容赦ない首を切り落とし心臓を一刺しで決めていく
そこへ笛の音がなる門番の正規軍が人を呼んできたのだろう
「なにごとだ!ここがタキトシの門前と知っての諸行か!」
そうするとタロンが半円からでてきて
「私はこの町のものタロンという護衛をつけねばならない事情が起きてな」
「タロン!タロン様ですかそれは失礼しました」
「全力でいまの不埒物見つけてまいります」
「いい、いい、どうせみつからん。見つかれば自害しよう」
そこへ飛んでくる斧タロンの首を正確に狙ってる
紙一重でホルズがそれを掴むと
「半円からでていいとはまだ言ってないぜ」とホルズ
タロンは慌て半円に入った
カリハスが呪文を唱える遠声のじゅもんである
ほとんどは町から聞こえてくる
「どうおもう?」
「今のが最後の一刀じゃないか?話し声はきこえないみたいだぜ」
ならばと林に向かって手を広げたと思うとパチンと叩く
「なんだあいつら普通じゃないぜ。なんの石だよ」
どことからなくそんな台詞が聞こえてきた
「これ以上遠くは無理よ」
「ま、町に入って大丈夫だろう」
5人の一行は町へ入ってく
「先に家にいく?」
「いや魔術師ギルドへ直行しよう」
「OK」
一向は魔術師ギルドに入っていく
「予約をとってからでないと」
「ならば石を守る間この町に泊まる賃金ぐらいだしなさいよ」
「おまちください」
「すいません。お客様がタロン様とは知らずすぐお通しします」
「おお、タロン様無茶なおつかいをお頼み申してもうしわけない」
「もうしわけないじゃないあらかじめ危険性を申すこともせず
私は家族を失うところだったぞ」
「なんの石なんだ」
「それはもうしわけないのですが言うことはできません」
「何も知らずに危険にさらされて来たんだぞ!」
「魔王の結晶」ぼそっとカリハスがいう
「魔術が使える者なら殺し合いになっても欲しい石」
「そうなのか」とタロンがギルドに問いただす
「ええと、その、なんていったらいいか」もぞもぞとしている
魔王の結晶とは神々が戦った際魔王は自らの血さへ武器とし神々を傷つけた
神々を傷つけた石は神の血をも吸い込み魔王の結晶とよばれるようになる
石の力は魔術の魔力能力地場を拡大し持ち主の命つきるまで暴走するとされている
ただし正しい法則にのっとれば偉大な魔力を発揮し巨大な力を得ると
言われているのだ
「なら何故それを先に言わん私は妻と子供まで危険にさらしたんだぞ」
「タロン様ですから大丈夫だとはおもったのですが連れのものもいますし
何かの加減で情報が漏れるのはよくないかと最小限に」
「そうねこの塔の人間を皆殺しにして奪っていくのも悪い選択じゃない」
「かりはすどの?」
「すなわちそういうことよ。」
「私は魔王の結晶がどんなものか知ってる。だから石をみせられたとき
99%魔王の結晶だと確信してた。よくも途中でタロンの首をはねなかった
もんだわ」とくすくす笑う。「冗談はよしてください」
「冗談じゃないそれくらいの石なのよ」
「今回の旅費研究費ならびに危険回避費を余分に請求するといいわ」
「それぐらいの価値があるのだから」
「それじゃね。ホルズ行きましょう」
「いいのか?のどからてがでるほど欲しい石なんだろう」
くすくす笑いながら「なんで私が魔王の結晶なんてしってたとおもう?」
額のはちまきをとりながらほらとみせる。小さいが間違いなく先ほどの石だった
はちまきを縛りなおしながら「家内魔術には使えても行動中呪文には使えない」
「石にも加減というものがあるものよ。それにここのギルドは滅びるわ」
「人の欲ほどこわいものはない。巻き込まれる前に次の町行くわよ。」
「わかった。ここの女は出来がいいんだが…」
「いいけどおいてくからね。まじ。やばいんだから」
それから10日ほどたった後の事
ギルドはおろか町が崩壊したとの噂が広まった
「上手に使えばいい石なんだけどなんーんー」
「楽しそうだな」
「人の欲ほどこっけいな話はないわよ。自分で自分を滅ぼすんだもん」
「今回は結構強い奴相手にできたしね。」
「確かになアサシンが3人も出てきたときには冷や汗かいたさ」
「守るもんがなきゃ楽勝だけどね」
「違いない」とにっとホルズも微笑む
次の町で
とりあえずきのこ取りのクエストをうけることにする
「俺はぬけていいか?」
「だーめ。一緒に拾うの。わかりやすいきのこでしょう。
量が必要なんだから」
「指定は50個だぞ?」
「そうね200個はほしいかしら」
「なんのきのこだよ」
「あんたがいつもおしげもなくつかうヒールの効能を持ったきのこよ」
「ヒールかあ…んじゃ手が抜けんな150個でいくつぐらいになる?」
「300包みぐらいかな」
「まぁまぁだな」
そして二人は地味なきのこ取りにいそしむ
地味に地味に休憩を入れながら地味にホルズのとってくるきのこには
毒キノコも混ざってたためこれも選別しながら地味に黙々と取る
毒キノコはきのこでつかえるのだ
「だーっ、止めだ止めだこんな地味なことやってられるか
気が狂う止めるぞ俺は娼館にいくぞ」
「いいわよ。300は超えたわ後は処理しとく明日の朝までにね」
実質徹夜仕事なのだがホルズはそんなことを気にしない
というより徹夜して作業していることもしらないだろう
「ふーっ。やっと終わった夜があけちゃったわね」
ドドドドド地面が揺れる
「地震?」
ドドドーンそれでしずかになった
外の光景をみて唖然とする山一つ綺麗になくなっている
ヒールタケが取れることで有名な癒し山が消えてしまった
ホルズと平地になった癒し山を乗り越えて奥の山へいく
登っていく「何があるんだ?」「何もないかも」
「でも町には下りてこれないでしょう。なら山に隠れるしかない」
「なにかあるのか?」
「なにもただ私達は不適切なところへ石をはこんだのかもしれない」
「ギルド?」「そうギルド」
「とにかく石がどんなものかわかってない。このままだと第3の被害が…」
「タロン!」
いきなり見知った顔につい叫んだがまずかったタロンは全速力で逃げていく
走り出すカリアス
「捕まえるのか?」とホルズ
「うん」カリハスをあっという間に追い抜きあっさりタロンを捕らえる
「タロン石を出しなさい」
「なんのことだ?わしは旅の途中なだけだ」
「町を消失し森をなくしまだこりないの?
貴方にはそのいしはつかいこせない」
「そ、そんなことはない組み立てを少し間違えただけだ次こそ」
「ふーっ。やはり石をもってるのね」
「うっ。」
「あのレベルの石は人には使えない。さぁだして」
「だしてどうするお前たちが悪用するだけだ。」
「貴方のやってることは悪用と言わないの?
町を滅ぼし森を消失させているのよ。」
「大事な研究の貴いぎせいじゃ。今辞めたら無駄になる。」
「無理やり取り上げることもできるのよ。戦ってみる?」
「この先に滝があるわ。そこにほうりなげましょう。」
「お前さんたちはこの石のとおとさをしらんからそんなこというのじゃ」
「貴さは知らなくとも怖さはしっているわ
貴方にはその石は使えない。殺してでも奪うわよ」
「…わかった滝はどこだ」
「こっちよ。」
「二人を誘導して連れて行く」
「こっから険しい坂道降りるから気をつけて」
すでに滝の音はしている
ちょっとした広場にでた
「タロンこの滝に石を投げて」
「しかしこの石は大事な研究材料で
ホルズがうむをいわさず不意打ちで石をとりあげ滝に投げる
「欠片程度なら使いやすいのだけどね」
タロンが何かブツブツ言っている「ワシの石をあれは大事なものなんだ」
「実際つかいこなしてなかったじゃない。」
「わしの石じゃ。勝手に投げおって」
そういうとタロンは滝つぼにとびこんだ
「あちゃーどうする」
「この滝つぼに飛び込んでいきていたものはいないわ」
「救助も不可能か?」
「そうだからここにつれてきたの
石に魅せられた人はとびこんじゃったけど仕方ないでしょ」
あっさりと二人はタロンを見捨てて町に戻ってきた
帰ると精鋭隊に捕まって根掘り葉掘りと聞かされた
隠す気も無かったのでタロンとの旅路のはなしから
長々と話てやった
「じゃあ石は滝の中、タロン様も滝の中だというのだな?」
「タロン殺害容疑で君らを逮捕する」
迷わず抜刀するホルズ
慌ててカリハスを捕まえ盾にしようとする精鋭隊
だがするりと抜けたかと思うとこちらも抜刀する
「別に賞金首になったって気にはしないけど
言ったはずよタロンは自ら飛び込んだと
信じなければそれでかまわない抜刀しなさい
それぐらいの猶予はあげるわ
皆死にか正当な報告を信じるかは貴方たちしだいよ」
「ならば荷物検査を要求する。君たちが石をくすねてないか確かめたい。」
「面倒な皆殺しにしてやる」
一振り確実に狙いを定めた一刀をかろうじて止める
「ホルズ短気にならないで荷物を見せるだけよ」
「そん代わり荷物の1つでもかすめとろうとしたら
一人残らず首をはねるからね」
精鋭隊の隊長がごくりとくびをならす
「そんなに高価なものをもってるのか?」
「家はないもの持ち歩くしかないでしょう」
そういってカリハスから荷物をだす綺麗に整理された錬金術で作られた
薬の数々、他には守護の石や魔力の石などがある。いくつかは錬金術前の
草花なども混じっている」
「売れば家どころか城が建つな…だが例の石はなさそうだ失礼した」
つぎはホルズの番だこっちも旅支度以外は短剣20本ほどとぎ石などだ。
「こんなに武器を所持して危険極まりないそれだけで逮捕できるぞ」
「やれるもんならやってみろよ」軽く剣を振りながら楽しそうに言う
「ホルズ」
「わかってる精鋭隊だろ。殺しはしないさ向かって来るなら手足1本覚悟しな」
「いや石を持ってないのは確認した。こちらもむだな戦いはしたくない
ご協力感謝する」そういう精鋭隊の隊長は額にびっしり汗をかいていた
わかるのだ殺気が戦うと結果どうなるかが
「これでとりあえずひとまず終了か」
「だといいけどね。精鋭隊が動いたってことはアサシンギルドと盗賊ギルド
が動き出すわよ。いちいち袋改めなんかされちゃたまんないわ」
「1.2戦闘はおきるかもだけどこの地区一気に抜けるわよ」
「ふーっ。だからここらの女は美味しいんだが」
「じゃあここでお別れねさようなら」
「まーったいくいく。しばらくはお前でがまんする」
「なによそのいいぐさ、私は人形じゃないのよ?」
「わかってるさそれでもぴくりとも動かなかったのに感心したもんだ」
「出会いは最悪だったわね。うごけなかったのよ生きたきゃ動けなかった。」
「どうぴくりと動いても死ぬしかなかった剣を引き抜かれる前は」
「それがわかっててもじっとしてられないのも死を選ぶのもいる
お前は耐えて生き残った。ついて来いと言う言葉にも従った
2度目は勝てないことを悟ってたからだ
強くて賢いそれが美人となれば気に入った
そういえば錬金術してたんだろメガヒールよこせ」
「はいはい金貨1枚じゃ買えないんだから大事に使ってよ」
「こっちがハイヒール、こっちがメガヒール」
「毎度言わんでもわかってる」
「それもわかってるんだけど世の中覚えない人も多いからついつい癖でね」
「それじゃ隣の国まで一気に進むわよー」
「承知」
隣の町につく頃にアサシンが襲ってきた
それまでにも冒険者が数組きたが勝てないと知ると逃げていった
冒険者の場合どのレベルでも一応手加減したが
アサシンとなるとそうはいかないギルドを通じて延々と追われる
それを避ける為にも皆殺しした背中に深く×印をほっていく
容赦はしないという意味だ
町に入ってからも一組来た7人組みだったが
町の中なら躊躇すると思えばまちがい
二人は確実に殺していき同じように×をえがく
町の中ゆえ精鋭隊が来たが最初から話すと引いていった
話よりも殺伐とした殺気に当てられたと言う感じだ
3組目は来なかった総勢12人てだれもいた。もうこないだろう。
そうすると諦めたかなと思っていた冒険者がきた
優しい声に燐とした鈴の声のような女性だ
この女がリーダーなのだろうと察しがつく5人組だった
彼女はマリー聖職者となのり戦士二人男はトツカとケミルズ
盗賊のカノン、最後に魔道士のハッカーと自己紹介していく
「ハッカーフードを取りなさい礼儀よ」
そういうとしぶしぶと顔をみせる整った燐とした顔が見える
見たからにマリーと兄弟っぽい
そしてマリーは語り始めた
ハッカーは幼い頃から魔術師になるべく頑張ってきて魔術師から
魔道士になるとき家宝の魔王の結晶を受け継いだこと
更なる腕をみがくべく姉のマリーを誘い冒険者になったこと
トツカは幼馴染でケルミズは旅の途中で知り合ったこと
ちょっとした事件がありカノンと知り合いになり盗賊ギルドから
買って仲間にしたことそしてアサシンに手違いで石を奪われたこと
石が使われる痕跡と波動をたよりに探しあてたこと
石の持ち主はタロンといい最後に接触したのがカリハス達だと」
カリハスは頭をぽりぽりかきながらタロンとのいきさつを話
「まさかあの石を操れる人物がいるとは思わなかったもんで…」
「滝つぼの中ですか他人に渡るよりはましですが…さてどうしましょう」
「冗談、誰も生きて上がって来てないのよ?」とカリハス
「誰も7人で挑戦したものはいないだろう?俺はサバの出身だ
泳ぎにはちょっと自信あるしさ」
「流れが違うわ相当ながされるわよ?」
「命綱つければいいさ滝つぼにもなれてるし石も何度もみてる」
「ふーっ、よもや持ち主がいて追ってくるとは…死体みたのでしょう?」
「ここで殺した方が楽なのよ?」とカリハス
「する気ならうむを言わさずもう死んでます」とマリー
かくして7人パーティとなり滝つぼへ進むのだった
途中ホルズがマリーに手をだそうとしてもめたり
カノンは平気で応じていた
カリハスのほうがみんなみているのにとはじらいをみせたほうだ
そんな夜のやり取りはあったものの
昼間はアサシンが来ようが冒険者が来ようが敵じゃなかった
マリーのパーティもてだれぞろいでかなり冒険を積んできたのがわかる
そして肝心の滝つぼに着いた
「本当にやるの?命の保証できないのよ?たかだか石でしょ?」
「魔術をつかうものならそれがどんなに貴重かわかるはずだぜ?
だからこそ滝に投げたんだろう?」
「そうだけど…じゃあせめて私が潜るわ」
「息を何分止めてられる?」
「………はーっ。限界」
「5分ちょいだな思うよりは止めてられるが俺はその倍を軽く行くぜ?」
そしてケルミズは飛び込んで行った
10分ほどたったとき縄がきしんだ
カリハスが慌てて自分の手にまきつけるのと
杭がはずれるのは同時だった
少しずつ引きずり込まれるところをホルズが腰を抱え一気に元の位置に
引き戻すほかのものも縄をつかみ6人で支えていたが
「限界、骨が折れるわ次に体重がかかるのはホルズよ構えて
「いやそこまでする義理はない切り離すさ」とホルズ
「待って石を諦めるはケルミズは持ち上げて」とマリー
カリハスがぬけて5人で持ち上げるケルミズは石を持っていた
「ほら、もうなくすなよ坊主」とケルミズ
「3つしかかわらないじゃないか。まぁ助かったよ」とハッカー
「石が見つかった瞬間持ち上げられたんで正直あせったぜ」
「杭が抜けてね彼女の手がほら。だからあげざるえなくって」 「あちゃ折れてるなマリーどうにかできるか?」
「おかまいなく薬ならもっているわ」
「それはすごいわね高いでしょう私が治すわ、メガヒールとボーンヒールで」
「両方使えるの?神殿に残れば神官長の暮らしができるじゃない」
「困った性格でね神官なくせに退屈はきらいなの」とマリーがヒールをかける
こうして7人パーティは解散して無事に石も回収していくばかの報酬も
もらった
「おーいカリハス抱かせろ」
「いつもうむいわせないくせに」
「パーティの間ずっと緊張してたろ?」
「そりゃ貴方みたいに節操無しじゃないもの全員手にかけようとして…」
「それが男だ」
「んなわけないでしょう」
ホルズの手がカリアスに絡みついてくる
「いつからだろう」
「ん?」
「ずっと殺してやるつもりだった。」
「知ってるずっと殺気だってたからな」
「いつしか無駄だと悟った。あの時さえ剣を抜かせても体の自由は効かない」
「殺そうという気持ちが消えて貴方の吐息が恋しくなったのは…」
「考えるだけむださもう5年も一緒に旅してる」
「そうね」
夜は更けていく
カリハスを腕にホルズがボソッと言う
「ほんとの意味で自分のものにするには3年かな。」
夜はさらに更けていくカリハスには言葉は届かない
今二人でいることだけが大事なことだとホルズは思っているから
隷属から始まった関係などすでに意味をなさないから
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