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作品名:10人と1匹(猫とか)いる! 作者:でんでろ3

最終回   (猫とか)は、実は猫。
ここは宇宙ステーション。
もうすぐ、数々の厳しい試練を乗り越えて、この最終試験に挑む宇宙飛行士幹部候補生たちがやってくる。

「おっと、この部屋は重力あるのか」
「何だか久しぶりだな」
「…あれ、ちょっと待てよ。人数、増えてないか?」
「そうか?1,2,3,…,11。ああっ、11人いる!」
「一体、いつの間に増えたんだ?」
「…なぁ、11『人』か?」
「何、言ってんだ?じゃあ、番号かけてみるぞ。番号っ!」
「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「10」「にゃあ」
「ほら見ろ。11人いるだろ」
「…いや、お前は何も疑問に思わないのか?」
「何が、言いたいんだ?」
「…じゃあ、逆の順番で、番号かけてみないか?」
「いいだろう。番号っ!」
「にゃあ」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「10」「11」
「…なんで、お前が2番なんだ?」
「つまらん事に、こだわる奴だなぁ。しかも、1番でなくて2番か?」
「いや、そうじゃなく…」
「じゃあ、お前に2番をやろうじゃないか。番号っ!」
「1」「2」「3」「4」「5」「6」「にゃあ」「8」「9」「10」「11」
「はっきり言おう。こいつは猫だ」
「バカなことを言うな。宇宙センターに猫が居る訳ないだろう」
「いや、そんな固定観念に縛られず、現実を直視しろ。こいつ『にゃあ』しか言ってないぞ」
「田舎から出てきたばかりで、なまりがきついんじゃないか?」
「そういう、レベルじゃないだろう?だいたい毛むくじゃら…」
「バカっ!本人が毛深いの気にしてたら、どうするんだ!」
「毛深いの遥かに通り越してんだろっ!だいたい小さすぎ…」
「貴様という奴は、次々と人のコンプレックスを土足で踏みにじりおって…。許さんぞ!」
「いや、だからさ」
「それに、あれだけ小さな身体で、この最終試験まで来たのだ。人並み外れた努力をして来たに違いない」
「じゃあ、あいつと会話してみろよ」
「まったく…。いいだろう。それで気が済むのなら…。…なぁ、この服、俺に似合うかな?」
「にゃう」
「『似合う』と言ったぞ」
「言ってねぇし、お前の質問、不自然だろ?」
「分かった。じゃあ、今度は、あいつの英語力を試してやる。…英語で『近い』は何と言う?」
「にゃー」
「ちゃんと、『near』と答えたぞ」
「お前、ワザとだろう。ワザとだと言え!いや、言って下さいと、お願いしちゃうよ、むしろ」
「強情な奴だなぁ」
「そら、お前の方だ。…そうだ!見てろ。このマタタビを近付けると…。ほらっ、酔っ払ったみたいになった」
「信じられん!」
「なっ、これで分かったろ」
「何で、お前、マタタビなんか持ってるんだ?」
「…そっちかよ」

                                             (おしまい)


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