カンカンカンカンカン・・
もう何年も前から,行く先々の人々をくいとめてきた古ぼけた踏切が鳴っていた。そこでくいとめられている人だかりの中には,真新しいシューズに真新しいバッグ,そして真新しい自転車にまたがっている自分が居た。 自分は期待に満ちていた。登校中に自分の視界を遮るような桃色にちりばめられた桜,まだ少し涼しげだが,うららかな春の朝。 ―――新学期。誰もが期待に胸寄せる時期である。そんなニコニコ顔の連中の中にむろん,自分もいた。 8時15分。新学期という響きに影響されて自転車通学をし始めたため,少し遅い登校だ。校門に少し小走りで入って行き,新しい靴箱に早くも靴紐が解けた真新しい靴を入れ,階段を駆け上がった。
新しいクラスについた。そうすると,向こうからなれた顔の奴が来る。同じ部活の友人である。朝昼晩ずっと顔を見合わせてきた,いわば仲間と呼べる間柄だ。幸運にも同じクラスになったらしい。お互いにくだらない会話を交えた後・・・席に座った。
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