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作品名: 作者:銀河

第3回   3

「こんにちは!!」
「あら、桜ちゃんいらっしゃい。待っていたのよ」
「おばさん、お世話になります」
「あら、何緊張しているの、自分の家だと思って」
そこは、5年前とちっとも変わっていなかった。
変わっていたとすれば、高志のおもちゃがなくなったくらいだ。
「高志は、今日どうしていますか?」
「高志はね、海に行っているわ、水泳部に入っていてね、合宿ですって」
「高志が水泳部ですか?」
「ええ、まぁ〜昔から海とか、プールが好きだったからね」
「そうなんですか」
そう、高志はプールが好きだった。
私が、引っ越していく日も、プールに行くことを約束した。

あの日も、暑かったな…。

「桜ちゃん、今日はすき焼きにしようと思うけれど、いいでしょ?」
「すき焼き、私大好きなんです」
「それじゃ〜いいわね。おばさんちょっと買い物に言ってくるから、留守番頼めるかしら?」
「ええ、かまいませんよ」
「じゃ、ちょっとお願いね」
そういい、おばさんは買い物袋を下げて、買い物に出かけた。
私は、その間に、飯田家の家の中を見て回ることにした。
一階は、きちんと整えてあり、あまり変わっていなかった。
二階には、寝室と、昔高志とよく遊んだ、子供部屋がある。
あの部屋は、かなり広く、二部屋取れるようにしているらしい。
きっと、片方が私の部屋になるのだろう。扉を開けてみた…
部屋は、きちんと片付けており、清潔感がある…と思ったら、部屋の半分だけだった。
おばさんがきっと私のために部屋を空けたのだろう…もう半分は、物がそのまま床に置いてある。
「たくもう…」


私は、片付けを始め、1時時間後には、終わった。そのまま、高志のベッドに、横になって、天井を見上げていた。幼稚園のころの記憶がよみがえる…。
「高志は、大きくなったら何になるの?」
「決まっているじゃないか、俺は水泳でオリン…オリン…まあいいや、水泳の選手になるの」
「ふう〜ん」
「桜の夢は何だ?」
「高志のお嫁さんになるの!! 」
「へ?お嫁さん?」
「そうなの」
「ふう〜ん…」
その後、高志気まずい顔していたっけ…そして、二人とも黙ってしまった。



ふと気がつくと、あたりは夕日に照らされていた。
4時くらいだろうか…
床には、半そで短パンの男性が寝ていた…高志?
「たかし?高志、なのね!!」
しかし、彼からは反応が無い…熟睡しているのだ。
「床に寝るなんて」
仕方が無く、私は持ち上げようとしたが、やはり男の子だ、重い…それに、水泳をやっているせいか、体つきもいい。
私は、一瞬ぎょっとしてしまった…。
「このままでいいか」
あきらめた私は、高志をそのまま床においておいた。
一階に降りると、おばさんはまだ帰っていなかった。
今日から、飯田家に、お世話になるということは、高志とは一つ屋根の下で、生活をすること。
胸が高鳴っているのは気のせいだろうか…?


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