「おまたせしました!」
丼の上に上品に盛られたシラス、その上におろし生姜がこりゃまた上品に盛られていて非常に旨そうだ。
「召し上がる前に、生のシラス丼はこのたまり醤油をお好みでおかけください、釜揚げは少々塩味が有りますのでこのままいただくか、 同じくお好みで醤油をかけてお召し上がり下さい」
なかなか丁寧に説明しているじゃん!3人とも食べたくってうずうずしている、見て分るほど!
「いただきま〜す!」
まずは舞が丼に食いついた、お前さん女の子なんだからもっと上品に、こういったところは横にいる奏を見習って欲しいが、まあいいか、これが 舞の持ち味と言うことで、今までこういう光景を見てきた俺は当たり前だと思い(女の子なんだからもっと上品に)なんて勝手な社交辞令みたいなもので 今の舞がこの持ち味が無くなったら俺の妹じゃなくなるみたいで嫌だ!奏とて同じだ、おとなしいイメージの女の子がいきなり丼に食らい付くとなれば 少々引いてしまう、友達とかが見ても二人の区別が付かなければどちらが奏か舞か判らない、なんとも思わないだろう。ただ俺はこの二人の兄だ、何年も 兄妹をしている、どっちも今のままでいて欲しい、そう願う・・・・・・・、 てっ!俺のめし!
「お前にはこれだ!」
あれ?これは、普通の生シラス丼?でも、おろし生姜がのってないな?
「これって、生シラス丼じゃねーの、それも、おろし生姜がのってない手抜き?」
少々ムッとした表情で山杉が反論する。
「おまえね〜、試食といったべ!これから付け合せするんだよ、まずは大根おろしをつまむ程度で真ん中にのせて、そして下ろした山芋、そこに卵の黄身のみをのせ、黄身のてっぺんに 箸でちょんと穴を開けーの、そしてそな穴にたまり醤油をたらりと、よし!まぜてたべてみ」
丼をかっ食らう!そして。
「これ、うめ〜よ!とろとろ芋と大根おろし、あんがいいけるかもな、わさび醤油でもいいかも、何しろ旨いよ!」
「そうだろ〜」
「アニキ、アニキ、そんなに美味しいの?」
舞が覗き込んできた。
横で見ていた山杉が
「舞ちゃん食べたい?」
「うん、食べたい!」
「それじゃ〜ちょっと待ってて」
と言って山杉が部屋を出て行った、暫くするとお盆に3人分の小丼を載せ戻ってきた。
「洋介のお墨付きですので、どうぞ食べてみてください、あっそれと少し食べたらこの出汁をかけて召し上がってみてください、お茶付け風に食べられますので、」
俺は早速出汁をかけてたべてみる、
「旨い!これはこれでまた旨い!いいんじゃねこれ!これは絶対献立に出した方がいいよ」
俺も大絶賛だがミノリも奏も舞も絶賛している
「まあこれだけ喜んでくれるんだったら考えようかな、どちらにしてもお前らの反応しだいで商品化するか決めるところだったから、よし夏前に何とかもう少し味を調えて だしてみるか!」
俺は一つこいつに聞いてみたいことが有った、それは物置に置いてあるバイクのことだ、見たところ最近乗った形跡が無い、それどころか俺自身高校を卒業後こいつとは何度か 遊んだりはしているがバイクに乗ったところを見たことが無い。
「なあ、余計なことかもしれないがお前最近バイク乗ってるのか?」
少し暗い表情になった、(やば〜、聞いてはいけないことを聞いてしまったか?) でも、少しはにかみながら
「仕事が忙しくてな、あっ、でももう暫くしたら乗ろうと思っている、そしたらまた、なっ」
それ以上は聞かなかった、こいつはこいつで自分の夢をしっかり進んでいるしバイクなんて乗ってる暇なんか無いのだろう、でも、もう暫くしたら息抜き程度で誘って やろうと思った。
今日は何しろ晴天で気持の良い風を受けながら此処まで来て、旨い飯も食わしてもらい本当に満足、後は帰るだけ。
「そろそろ行きますか」
奏も舞もかなり満足しているようでお土産にしたいと言っている、
生は無理だけど釜揚げにしたのがまだ少し有るからもっていく?と言われると
「いただきます!」
しっかり貰ってやがる!当然ミノリ部長も貰っていた、俺にはないんかい!
とにもかくにも帰り支度をする、昼食の代金を払おうとしたら「今日はいいよ」だって、貧乏学生には願っても無いことだ、 気が変わらないうちに
「えっ、いいの、わるいな〜、お土産まで貰っちゃって」
「まあ、今日は目の保養にもなったし、でもまた連れて来いよ」
「おう!」
なんて、会話をしながら裏の母屋の庭までバイクを取りに行く。
えらいえらい、奏も舞も始動前点検はしっかりしている、それでは安全運転で帰りますか。
「じゃ、またな〜」
「ああ、気おつけて」
134号線を鎌倉方面に向け走り出した、下り線とあって爽快に走れると思ったがそうでもなく七里ガ浜あたりは非常に混んでいて 道は国道より細くはなるが稲村ガ崎より左折して極楽寺の駅前を走り、少し混むが長谷駅前を走り帰ることにした。
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