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作品名:広がる世界 作者:空谷 碑路

第1回   第壱話「回帰」
押入れの中に、ひっそりと置いてある書物。
まだ、文字も読めないのに、文章の途中に置いてある挿絵を見ながら、色々な想像をはたらかせて物語を追う。
冒険物を見ては、胸をドキドキさせ、恋愛物を見ては、首をかしげてみた幼き日。
やがて、文字も読めるようになり、少年は物語の世界を広げていった。
将来の夢なんてものを、もつようになった。
物語に出てくる主人公達に、自分を重ねて。
物語の中が、少年の世界だった。
中学生になると、別の世界が心に広がった。
初めて、人を好きになり、淡い恋心を抱いた。
しかし、初恋というのは、物語のようにはいかない。
そういうものである…。
高校に入ると、少々悪い事を憶え始めた。
酒、煙草、夜中の外出。
悪友と共にする時間が、少年の世界をまたひとつ広げた。
このまま、時間が続くと思った。
だが、そんな日々も、長くは続かず、大人にならなくてはいけなくなった。
社会に出て、今までとは違う世界になり、苦痛な時間が流れるようになる。
立ち止まり、考える時間を与えてくれないほど、加速を続ける。
この、流れに乗れず、ただ押し流される日々。
「あの頃に帰りたい…」
そう思った時、1冊の本とであった。

つづく


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