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作品名:インタアライブ Inter alive 作者:ウィンターチャンス

第2回   序章2
「それが現実よ」

  「そんなものなのかな?」

「青春なんてそんなものよ」

直人は、麻衣子や友達と共に送る日常が好きだった。
これくらいくだらなくて、ありふれた日々のほうが世界を愛していけるのかもしれない。
これが青春だとしても、そう悪くはない。
なんだかんだいって今の生活が好きなのかもしれない。
自分に良く合っている。
しかし、卒業を前にして今の生活が「永遠に続け」と思うのか、「これももうすぐ終わる」と思うのかはわからないことではあるけれど。
そんなことを考えて、ふと寂しくなる。


「よし!今日は皆で遊びますか」

直人は、元気良く彼女にそう言った。

いろいろと考えることはあるが、今は友達と遊んでいたい。


「なによ、いきなり」

麻衣子が不思議そうな顔をした。
彼女は小さい頃からあまり変わらない。
かわらず接してくれる。
だから、一緒にいると心が安らぐ。
彼女の力は大きい。

  「まぁ、いいでしょ?」

直人は少し照れながら、無邪気に笑った。

「変なの」

それにつられて彼女も笑う。
ずっと変わらない、日常。
直人はその日常をいつまでも守って行きたいと思った。
たげど、自分は麻衣子にとって何ができるのだろうか?



話している間に学校に着いた。
直人の通っている高校は、月岡市の朝日ヶ丘高校である。
教室はアルファベット順に9クラスに分かれており、その中の3−Aに入る。
麻衣子も同じクラスだ。

「しかし、何で直人とクラスが同じなんだろうね…」

「さぁ、腐れ縁じゃない?」

  「腐れ縁ね…」

麻衣子とは中学でも同じクラスだった。
そして、高校でも。
何かの縁があるとしたら、やはり「腐れ縁」が一番ぴったりくるフレーズなのかもしれない。

「ちなみに腐れ縁は、離れようとしても離れられない関係、好ましくもない関係を批判的・自嘲的にいうときに使うのだ、ご存じ?」

麻衣子の言ったことには反応せず、机にカバンを置く。

「って、無視かい」


顔を上気させながら、麻衣子も隣の机にカバンを置く。

  「しかし、何で席まで隣なんだろうな…」

「さぁ、腐り縁ってやつ?」

  「それさっきも言ったぞ。それに『腐り縁』じゃなくて『腐れ縁』な」

「そうだっけ? まぁ、いいじゃない」

隣の席に麻衣子が座る。
これは個人的には少し困る。
なぜなら、授業中に寝る事が出来ないからだ。
どうして寝れないかというと、教科書の角で頭を叩き潰してくるのである。
冗談ではなく、本気で。
たまにシークレットアイテムとして辞書を使用する。
笑えないことだ。
この激痛には耐えることはできない。


彼女はああ見えて、勉強は結構できるから、困っている。
しかもテストが近くなると、なぜか家に押し寄せてくる。
いや、押し寄せるのではなく、押しかけてくる。
そして、いきなり人の家の冷蔵庫を開け、
「何もないな〜〜〜」
と文句を洩らすのだ。
決して何もないのではなく、彼女が頻繁にモノをかっさらうおかげで、冷蔵庫の中身が急激に減っているだけなのだが。

そんな事を思っていると、
教室のドアが開き、直人の良く知る人物が入ってきた。


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